ADHD治療が効かない…実は“気づかないうつ”だった? 脳波(QEEG)で見えた本当の原因
2025.04.15

◆ はじめに
ADHDの診断を受け、薬も飲み、生活習慣も整えているのに、なぜか改善しない。
そんなとき、**本当の原因は“気づかないうつ状態”**かもしれません。
当院で行っている「QEEG(定量脳波)」検査によって、“こころ”ではなく“脳”の状態から原因が見えてくることがあります。
今回は、実際に「ADHDだけだと思っていた方」が、QEEGを通して別の側面に気づいたケースをご紹介します。
◆ ADHDと「うつ」は重なりやすい
ADHDと診断される方の中には、実は**気づかれていない“うつ状態”**が隠れているケースがあります。
たとえば、
- やる気が出ない
- ケアレスミスが多い
- 集中できない
…といった症状は、ADHDにも「うつ病」にも共通しています。
だからこそ「ADHDと思っていたら、実はうつだった」というケースも少なくありません。
◆ 自覚のない“うつ”もある
ある患者さんの話です。
ずっと「自分はADHDだからうまくいかない」と悩んでいましたが、うつ症状の自覚はほぼなし。
問診票(CES-D)でもスコアは低く、「私はうつじゃないと思います」と本人もはっきり言っていました。
ですが、脳波(QEEG)を取ってみると…
前頭葉を中心に、典型的なdepressionパターンが強く現れていたのです。
◆ QEEG(定量脳波)の可能性
QEEGとは、脳の活動パターンを定量的に見る検査です。
特定の脳部位が過活動になっていたり、逆に活動が低下している様子がわかります。
この方の場合は、
- 注意のネットワークに異常あり
- 同時に、うつに関連する部位での機能低下あり
つまり、「ADHDの顔をした“脳のうつ”」だったわけです。
こうした状態では、従来のADHD治療だけでは改善が難しいこともあります。
◆ 治療方針をどう変える?
QEEGの結果をもとに、治療方針を見直しました。
- ADHD薬物療法を見直し
- セロトニン系の調整と、脳機能を直接整えるTMS治療を検討
その結果、生活の安定度が高まり、患者さん自身も「頭の中がクリアになった」と実感されていました。
◆ まとめ:客観的指標を用いて「脳の状態」を再評価してみる
「うつだと思っていたらADHDだった」
「ADHDだと思っていたら“脳のうつ”だった」
心の問題は、ひとつのラベルでは説明できないことも多いです。
QEEGは、そんな見えない部分に光を当てるツールとして、私たちの診療にとても役立っています。
◆ ご相談ください
✔ ADHD治療をしているが効果を感じづらい
✔ 何が原因なのか、自分でもよくわからない
✔ 脳波での可視化に興味がある
そんな方は、ぜひお気軽にご相談ください。
脳の声を聴いて、より納得のいく治療を一緒に考えていきましょう。