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2024年02月のブログ記事一覧

うつ病と風邪は関係ありますか?

2024.02.25

季節の変わり目などの寒暖差が大きい時期は、風邪を引くことが多くなりがちです。当院で受診されている患者様から「うつ病と風邪は関係ありますか?」という質問をいただきましたので、ご紹介させていただきます。

うつ病になると、身体的な不調があらわれます。倦怠感や食欲不振、頭痛などのほかに心因性の「発熱」が見られることもあります。では熱っぽい、微熱があるなどといった症状はどうしてなるのでしょうか。

発熱の原因/自律神経の乱れ

自律神経が乱れると症状の一つとして発熱が見られます。自律神経は自分の意思とは関係なく、自動的に食べ物を消化吸収する。心臓を鼓動させる。体温を自動的に調整し、発汗することで平熱を維持する。などの働きがあります。

しかし過度なストレスや疲労、人間関係などが原因で自律神経が乱れることがあります。すると次第に体温調節が上手く機能しなくなります。そのため不安やイライラなどから体温が上昇します。したがって、心身の影響によって熱っぽい症状となるのです。

発熱の原因/風邪

うつ病を患っているときは、精神的に気分が落ち込みやすくなります。気分の落ち込みに伴って体の免疫力も下がります。抵抗力が落ちた体内にはすぐに細菌やウイルスが入り込みます。そのため風邪を引きやすくなるのです。

発熱の原因/うつ熱

これまでの発熱の原因以外に「うつ熱」という外的因子が要因になることもあります。「うつ熱」と呼ばれていますが、病気が原因ではありません。原因は周辺環境の異常な暑さです。普段私たちを取り巻く気温は、体温よりも低いことが通常です。そのため私たちは体内の熱を放出し、平熱を保っています。しかし38℃を超えるような真夏の気温であれば、熱が放散できず体内にこもってしまいます。また、激しい運動で一気に体温が上昇し、熱を放散しきれなくなったときも同じです。このような熱が発散できない状態を「うつ熱」または「熱射病」ともいいます。

発熱がある場合の病院を受診するタイミング

現在発熱を伴う場合、病院ではインフルエンザやコロナウイルスの検査を実施されます。しかし、検査のタイミングで2度受診して検査を受けなくてはならなくなったという例もあります。

インフルエンザやコロナウイルスでクリニックや病院を受診するタイミングは、発熱などの症状が現れてから12~24時間経過した頃が適切だといわれています。

インフルエンザにはA型とB型がありますが、いずれにおいても感染してすぐの頃は体内にいるウイルス数が少ないため、検査でウイルスを検出できない場合があるためです。時間が経つにつれてウイルスの数が増えていき、発症してから約12時間経過した頃に検査を行うとウイルスを検出できる確率が十分に高まるので、発熱などの症状が現れて12時間以上経過してから病院を受診することが推奨されています。しかし、インフルエンザの治療薬の効果が十分に期待できるのは発症から48時間以内です。また、コロナウイルスは発症してから少なくとも8~12時間、できれば1日程度待ってから検査をすることが推奨されています。病院への受診が遅れると、検査をする意味も治療薬の効果も薄れてしまうので、遅くなりすぎないようにすることも大切です。

自律神経失調症

2024.02.11

~季節の変わり目と自律神経の乱れ~

季節の変わり目に、なんとなく身体がだるい、眠れない、イライラするといった身体の不調。皆さんも一度は経験があるのではないでしょうか? 特に季節の変わり目や昨今の自粛期間中にそんな症状を感じたとすれば、それは自律神経が乱れているサインかもしれません。

自律神経の乱れとは?

 自律神経とは、身体の働きを調整する神経のことで、交感神経と副交感神経の二つから成り立っています。主に交感神経は身体の働きを促し、副交感神経は逆に休ませるといった役割を持ち、状況に応じてそれぞれが働くことで、自律神経は私たちの身体を常にベストな状態にしようとしています。例えば暑い時に汗をかいて体温を下げる、食事をした時に食べ物を消化するといったことも、この自律神経の働きの一つです。

 しかし、この自律神経のバランスが整わなくなると、これらのコントロールがうまくいかなくなり、身体に様々な不調を感じてくるのです。

自律神経の乱れで起こる不調とは?

季節の変わり目に自律神経が乱れると、次のような症状がよく現れるようになります。もちろん、そのほかにも不調は起こりますので、ここでご紹介する以外の症状もあります。

  • 気分の落ち込みや不安な気持ちが続く
  • イライラしてしまう
  • 朝起きると体がだるい、重たい
  • 眠れない
  • めまいや耳鳴り
  • 頭痛や肩こりが続く
  • 肌トラブルが多くなる
  • 腹痛
  • 汗をかきやすくなる

このように自律神経が乱れると、様々な不調が起こり、日常生活にまで支障をきたすようになります。

季節の変わり目に自律神経の乱れが起こる原因とは?

季節の変わり目で気温の変化が大きいと自律神経が混乱してしまって症状にあらわれてきます。

昼間はあたたかいのに朝夕がめっきり冷え込むようになったという「朝晩と昼間との気温差」など環境の変化に対応しようして自律神経が過剰にはたらいてしまうのが、症状がひどくなる原因のひとつです。

また、季節の変わり目は、日照時間も少しずつ変化するので、人間の睡眠サイクルにも影響し、自律神経の働きとの間にズレが生じてコントロールしづらくなります。

体温調節機能を整える

現代では家庭も、オフィスも、電車も、お店も、どこにいてもエアコンのきいた快適な環境なっています。体が持っている「体温調節機能」はサボリがちになります。運動しないと筋肉が衰えるように自分で体温調節しないとその機能も衰えてします。

まずは、下記の事をから実践してみてはいかがでしょうか。

・規則正しい食生活。バランスの取れた食事を心掛けましょう。

・朝、太陽の光を浴びる。太陽の光を浴びることで自律神経のモードが切り替えられて1日の神経のバランスを整えることができます。

・浴槽浴をする。お風呂につかる事で、汗をかくことで体温調節機能を鍛える事ができます。

・運動をして、基礎代謝アップを図る。運動することは体温調節機能をつかさどる自律神経をきたえることにもなるので、とてもおすすめです。

その他、季節の変わり目には、自律神経の乱れの他に花粉症や鼻炎、アトピーなどの症状を起こすことがあります。これらは、免疫バランスの乱れによって生じる恐れがある症状です。

季節の変わり目に体調が崩れやすくなるのは、このように寒暖差によって体を調整しようとストレスが溜まり、免疫力が低下するためなのです。

気圧の差が大きく「内耳(ないじ)」が過剰に反応することです。この内耳は気圧の変化を感知する働きがあるのですが、気圧の変化が大きいと感知する働きが過剰になります。気圧の変化による過剰反応の情報が脳に伝わると、交感神経が優位になって自律神経のバランスが崩れます。このため、体調が崩れやすくなるのです。

季節の変わり目の体調不良を和らげる対処法

ツボ押しをする

ツボ押しをすると症状が和らぐのは、反応点であるツボを刺激することによって、全身の気血の流れを調節して自律神経も整えることができるからです。

季節の変わり目に起こる体調不良の原因は自律神経の乱れのため、ツボ押しで自律神経が整って症状を和らげられます。

  • 百会(頭のてっぺん)
  • 三陰交(内くるぶしから膝に向かって指四本分上がったところ)
  • 合谷(親指と人差し指の交わるところから、少し人差し指よりにあるへこんだところ)

上記のツボ辺りを押してみて心地良く感じるところ、強さを探し、無理に押しすぎたりしないようにしましょう。

耳マッサージをする

耳には自律神経と関わりがあり、全身の臓器や血流とも関わっています。聴覚として酷使したり、疲れたりすると全身に影響してきます。

健康的な耳を目指して優しく、いたわるようにマッサージしましょう。

①耳の裏側に親指を置き、人差し指で耳を挟んで満遍なく耳全体を揉みほぐしていきます。

②中指人差し指で耳を挟み、ゆっくりと丁寧にこすっていきます。

③耳の上部、真ん中、下部を上、外側、下と順番に引っ張っていきます。

受験とうつ ~受験生も保護者も大変~

2024.02.04

本日2024年2月4日は第118回医師国家試験の2日目だそうです。昔は3日間にかけて行われていた医師国家試験も試験の日程が2日に短縮され、この二日間が勝負という受験生も少なくありません。

中学受験、高校受験、大学受験、国家試験とこの1月から3月にかけては様々な試験のラッシュですので、家族に受験生がいるご家庭だとこの季節は一大事になります。

受験はプレッシャーとの闘い

受験というのはプレッシャーとの闘いでもあります。

例えば、試験会場での極度の緊張から腹痛・下痢・嘔吐などをきたしてしまい、トイレにこもりきりになってしまうことで本来の実力を発揮できないまま試験を受けてしまう人(過敏性腸症候群)や、名前の書き間違えや細かな確認行為がやめられず時間を余計に消費してしまう人(強迫性障害による)はメンタルクリニックでの治療を受けてから試験に臨まれるのが良いかもしれません。

2日間にわたって行われる医師国家試験では、1日目の試験がふるわず、2日目は受験会場に来なくなってしまう受験生が毎年一定数います。

子供を合格に導くのは、父親の経済力と母親の狂気

ドラマ化もされた『二月の勝者』という漫画からの引用です。

受験勉強や予備校への通学は金銭的にも労力的にも家庭に負担がかかり、家庭の中で摩擦が起きることは少なくありません。

お父様が「○○には中学受験の代金として200万円も使っているんだぞ!なんでこんなに出来が悪いんだ!」と金銭的な負担を課せたり、お母様がヒステリックになったりしてしまうことも少なくありません。

受験というストレッサーは家族関係に大きな影響を与えてしまいます。

心身に不調を感じたら早めにメンタルクリニック受診を

・気分が落ち込む

・やる気が起きない

・体が重く、疲れやすい

・頭がすっきりせず、集中力・判断力が低下している

・眠れない、または早く目が覚めるや夜中に目が覚める

・食欲がない

これらの様な症状にいくつか該当する。また最近、自分自身で気づいた変調や、仕事の効率が落ちている等、何らかの違和感を感じているのであればメンタルクリニックの受診をおすすめいたします。

受験うつとrTMS治療

当院にrTMS治療を目的にご来院される患者様には、働きながら治りの悪いうつや強迫性障害、コロナ感染後のブレインフォグ等を外来で治療したいという方が多くご来院されます。

また、東京には受験うつをrTMSで治療するクリニックがあるそうですが、当院としてはこの治療方針には賛成です。rTMSによる治療は抗うつ薬などの薬剤治療と比較して、眠くなりにくく、パフォーマンスを出しやすくなる側面があるからです。福岡県内に自由診療でrTMS治療を扱っている病院・クリニックは多くありません。当院は、福岡市内で交通の便も利用しやすく、お仕事がお休みの土日、祝日を利用して治療される患者様が多く来院されています。

気になる方は、まずは受診されて医師に相談し説明を受けてみてはいかがでしょうか。

鉄不足でうつや不安に⁉

2024.02.02

鉄欠乏症は、うつ病に類似した症状が出現することが古くから指摘されています。鉄欠乏は、ドーパミンなどの神経伝達物質の機能の障害を起こすことが報告されています。鉄欠乏はドーパミン機能を低下させることが示唆されるため、うつ病患者を含む精神疾患患者に対しては、血清鉄やフェリチン値による潜在的鉄欠乏をチェックし、食事療法や鉄剤による補充を行うべきであるとされています。

当院では薬物療法を軸に、うつの治療を行います。薬物療法といっても、できる限り少量のお薬でつらい症状をやわらげ、生活の質を向上させることを目標としています。

薬物療法を行う場合、血液検査で肝臓や甲状腺の機能を確認しながら経過をみていきます。その他にも、心とからだを健康に保つ役割のある鉄分や亜鉛の量もはかります。

また、鉄分や亜鉛の摂取量を食事などで増やすことで、うつ症状をやわらげてもいきます。

鉄分の効果

鉄分は正常な体の機能を保つのに欠かせないミネラル分です。赤血球が酸素を運ぶのに必要なヘモグロビンを形成するのに鉄が必要となります。

鉄分が不足すると赤血球が縮小し、うまく酸素を体にまわすことができなくなってしまいます。この状態を鉄欠乏性貧血といいます。主な症状としては疲れやすい、めまい、立ちくらみや蒼白い顔色、などです。

ではなぜ鉄分不足がうつの症状に繋がってしまうのでしょうか。実は、快感情や意欲に関係する脳の伝達物質であるドーパミンの生成には鉄分が必要です。

ドーパミンが不足すると慢性的な疲れ、意欲がわかない、不安や憂鬱感、集中力の低下などがみられます。

ドーパミンはタンパク質を多く含む食材から得られるチロシンというアミノ酸によって作られます。しかし、チロシンからのドーパミン生成を正常に脳細胞がドーパミンに反応するためには鉄分が必要です 。

当院で行う血液検査は、鉄分の貯蔵量を示すフェリチンの量をはかって貧血状態を把握します。フェリチンとは、体の内部に鉄を蓄えるタンパク質で、幹細胞などを中心に分布している。血液中の鉄分が不足すると、フェリチンに蓄えていた鉄分が放出されて、血液中の鉄分量を調節する。ふだん使う財布のお金を「ヘモグロビン」、貯金分を「フェリチン」とお金にたとえて考えるとわかりやすいでしょう。

「ヘモグロビン値が正常でも、このフェリチン値が低下していれば、鉄の貯金が減っていることになり、気分が落ち込む、イライラする、動機やめまいがする、目覚めが悪い、冷え性である、といった症状が出ます。

鉄不足の鉄欠乏性貧血の最近は男性も多いと言われています。ヘモグロビン値が低くなる貧血を『鉄分欠乏性貧血』というのに対して、フェリチン値が低くなることを『潜在性鉄欠乏症』といいます。健康診断の数値を見ただけでは鉄不足を見逃してしまうことも多く、この“貧血ではないのに鉄不足”の人がうつやパニック障害の人にとても多いのです。

鉄分不足は産後うつの原因にも

出産によって貯蔵鉄は空っぽになってしまいます。

フェリチン値5以下の人が20代の女性よりも30代・40代に多いのは、その年代に出産する人の割合が多いことをあらわしています。

妊娠と出産では鉄分が赤ちゃんへと移行し、お母さんの鉄分不足が深刻になります。これは「産後うつ」の発症と大きく関係していると言われています。

ですから、妊娠や出産によって大量の鉄分が必要な女性は、積極的に補給する必要があります。

亜鉛の効果

体内の神経伝達物質の中でも一番多いのがグルタミン酸です。グルタミン酸には神経を興奮させる効果があり、脳の活性化や、神経の成長および神経のコミュニケーションを促すのに必要な物質です。認知力や気分のコントロールと深く関係しています。そのグルタミン酸の働きのバランスを保つのを支えるのが亜鉛です。

うつ病と診断された人は、そうでない人と比べ血中の平均亜鉛量が14%下回っていること、さらにはうつが重症になるにしたがって亜鉛量が減少していくことが報告されています。

体内の亜鉛量とうつの症状が関係していることが推測できます。

最後に

お薬を使ってうつ病を治療する場合、医師の支えは必要不可欠です。

副作用なども報告されていますので、治療の経過やお身体の調子などを、血液検査を用いながら、しっかりと治療していくのが最善策となります。

お薬以外の方法でも、当院ではTMS治療などを行っていますのでご相談ください。