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【TMS治療】cTBSとは
2024.10.09
TMS治療における「cTBS」(連続シータバースト刺激, continuous Theta Burst Stimulation)は、rTMS(反復経頭蓋磁気刺激)の一種です。cTBSは、非常に短時間(40秒)で高頻度のパルスを連続して送る方法で、典型的には3パルスのバーストが5Hzの頻度で繰り返されます。このようなシータバーストのリズムは、脳内のシータ波と似ており、長期抑圧(LTD)と呼ばれる神経の抑制的な変化を引き起こすと考えられています。
cTBSは、従来のrTMSに比べて短時間で治療が可能であり、効果が同等か、あるいは場合によっては強力であることが示唆されています。特にうつ病の治療において、cTBSは前頭前皮質(DLPFC)に対して用いられ、従来のrTMSと同じような改善効果が期待できますが、治療時間が短縮されるという利点があります。
簡単にまとめると、cTBSは:
- 短時間で実施可能(1セッション当たり40秒)
- 抑制的な効果を持つ
- うつ病などの治療で従来のrTMSと同等の効果が期待できる
当院で採用しているMagventure Magpro r-30もこのcTBSプロトコルをサポートしており、効果的な治療の一つとしてご提供できます。
cTBSの価格
cTBS治療はiTBS(6分間のTMS施術)と同じ価格で施術可能です。
1セッションあたり4950円(税込み)となっております。
詳細は医師にお問い合わせください。
三島院長の医療相談を受けられます
2024.10.07
当院ではご家族に精神疾患を患っているお悩み相談を受ける事が多くあります。
保険適用外の自由診療として、医師の視点で医療相談を受ける事ができます。
(15分ごと3,300円)
・精神疾患を抱える方との関わり方がわからない
・誰に相談していいかわからない
・本人が精神疾患だと認めてくれず困っている
・精神疾患を抱える家族を支えることに疲れを感じる
・本人が自分で掃除や入浴などセルフケアが出来ない
・生活リズムが整っていない
・金銭的に困っている
・暴言・暴力があり困っている
・その他
家族のメンタルをどうにかしたいと真面目に責任を感じる人ほど、1人でどうにかしようと抱えやすい傾向があります。
中には、家族の精神疾患を知られたくない、どこに相談すればいいか分からないという人も。メンタルの不調に向き合うとは、とてつもないエネルギーを要します。
1人で抱えた結果、支援者もうつ病になってしまうケースもあるため、家族の精神疾患は第三者へ相談してみてはいかがでしょうか。
【相談要点】
・本人の生活状況(睡眠・食事・一日の生活パターンなど)
・今までの生い立ち
・既往歴(今までかかったことのある病気)
・現在の症状
・困っていること・助けて欲しい内容
季節の変わり目に鍼灸を
2024.10.02
人と自然界の間には密接な関係性があり、特に季節や気候の変化は、人体に対して直接的に大きな影響を与えます。
人は絶えず自然環境の変化に対応しながら生きています。
その自然環境変化のリズムに適応しているだけでも人体はすごいですね。
東洋医学では季節を春、夏、長夏、秋、冬と分けています。
春は肝気、夏は心気、長夏は脾気、秋は肺気、冬は腎気が盛ります。
いわゆる「五行学説」の中の一つです。
季節により気の流れや血流の変化があります。冬はトイレが近くなったり、夏は汗をかきやすかったりも分かりやすいからだの変化です。
このことだけでも季節の変化は人体に生理的・病理的に影響を現します。
特にこの変わり目は体の不調を訴える方が多くいらっしゃいます。うまく切り替え、バトンタッチができていないような状態であると考えれます。自律神経失調などとも表現されます。
当院では鍼灸施術も提供しております。お気軽にお問合せください。
診察と同様にLINEから予約ができます。
イップスとTMS治療
2024.10.01
イップスとは
イップス(Yips)とは、主にスポーツ選手が経験するパフォーマンスの突然の低下を指します。特に、これまで無意識に行っていた動作が突然うまくできなくなることが特徴です。例えば、野球の投手がストライクを投げられなくなったり、ゴルファーがパットをうまく打てなくなるといったケースがよく知られています。
イップスの原因は、精神的な要因や緊張、プレッシャー、トラウマなどが影響していると考えられています。また、身体的な要因や神経系の問題が関与している場合もあります。イップスは個々のケースによって異なるため、治療や対処法もさまざまです。心理的なアプローチやリラクゼーション技法、運動療法などが行われることがあります。
スポーツだけでなく、音楽家や他のパフォーマンスを行う職業の人々にも見られることがあり、広範囲に影響を及ぼす現象です。
心の病気なんでしょうか?
イップスは、必ずしも「心の病気」と一括りにすることはできませんが、精神的な要因が大きく関与している場合が多いです。具体的には、以下のような要素がイップスの原因となることがあります:
- パフォーマンスに対する過度なプレッシャーや不安:試合や演奏、仕事での期待に対するプレッシャーが増し、ストレスが過剰になると、これまで問題なく行っていた動作に影響を及ぼすことがあります。
- トラウマ的な経験:過去に失敗や怪我を経験したことがトラウマとなり、それが原因で同じ動作を行う際に不安や緊張が生じ、動作がうまくいかなくなることがあります。
- パフォーマンスの恐怖:成功し続けなければならないというプレッシャーや、失敗することへの恐怖感が、動作を制御する筋肉に過剰な緊張を引き起こすことがあります。
- 不安障害や強迫性障害との関連:イップスが不安障害や強迫性障害と関連するケースもあり、精神的な問題として捉えられることもあります。
ただし、イップスは必ずしも精神疾患ではなく、むしろ身体的な要素と心理的な要素の複合的な影響として捉えることが多いです。一部のケースでは、神経筋の機能不全が影響していることもあり、単純に心の問題として分類するのは適切ではありません。
治療や対処法としては、認知行動療法(CBT)やリラクゼーション技法、トラウマに対するカウンセリングなどの心理的アプローチが有効な場合があります。また、場合によっては運動療法や、身体的なリハビリテーションが行われることもあります。
イップスに対してTMS治療を行うことは有効でしょうか
1. TMSは不安やうつの治療に効果がある
イップスの背景には、不安やストレスが関与しているケースが多いため、TMSが有効である可能性があります。TMSは、特にうつ病や不安障害の治療に対して効果が確認されており、特定の脳の領域を刺激することで、これらの症状を緩和することが期待できます。
2. 運動制御に関連する脳の領域をターゲットにできる
TMSは、脳の特定の領域を非侵襲的に刺激できる治療法です。イップスは、運動制御や運動学習に関連する脳の領域、特に運動野や前頭前野などが関与していると考えられます。TMSは、これらの領域に働きかけることで、運動機能の回復や不安の軽減をサポートできる可能性があります。
3. 神経可塑性の促進
TMSは脳の神経可塑性を促進する作用があるため、イップスによって損なわれた動作やパフォーマンスの再学習を助けることができるかもしれません。脳の適切な部分を繰り返し刺激することで、新しい神経経路を形成し、問題のある動作を改善する可能性があります。
4. 精神面の安定
イップスに伴うパフォーマンス不安や自己評価の低下に対して、TMSが精神面での安定を提供することで、イップスの症状が緩和される可能性もあります。
限界と注意点
現在のところ、イップスに対するTMSの効果に関しては限定的な研究しかなく、標準的な治療法としては確立されていません。TMSは、一般に安全性が高い治療法とされていますが、イップスの原因が個々の患者で異なるため、必ずしも全てのケースで効果があるとは限りません。
推奨されるアプローチ
イップスの治療では、通常、心理療法(認知行動療法など)やリラクゼーション技法、またはトラウマに対するアプローチがまず試みられます。TMSは、これらの治療が効果を発揮しない場合や、並行して用いる補完的な治療として考えられることがあります。
もしTMS治療を検討されているのであれば、まずイップスの原因が心理的なものか、神経学的なものかを評価し、専門の医師と相談しながら適切な治療計画を立てることが重要です。
推奨されるTMS治療のプロトコル
イップスについてはまだ研究段階の側面も多く、当院では確立した手法があるわけではありません。
患者さんの個々の症状に合わせ、DLPFC(背外側前頭前野)や運動野のM1領域に対して、6分間のiTBS、16分間のTBS、16分間の低頻度刺激を組み合わせ、最適と考えられる治療プランをご提案しています。
テスラクリニックの発達障害診療:コンサータは出せません
2024.09.13
当院では発達障害の診療を行っていますが、コンサータの処方はできません。その代わり、患者さんの困りごとに合わせて、処方内容を調整しています。
テスラクリニックの発達障害診療で用いることがある代表的なお薬には以下のものがあります。
- ストラテラ(アトモキセチン)
- インチュニブ(グアンファシン)
- エビリファイ(アリピプラゾール)
上記に加えて、漢方薬やレキサルティ(ブレクスピプラゾール)等を組み合わせることもあります。
またうつ状態や不眠が強い場合には抗うつ薬を併用することや、うつ病治療を優先することがあります。
ストラテラ(アトモキセチン)カプセル
青いカプセルに入っているのが特徴的な薬です。(他の剤形もあります)
ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(NRI)で、脳内のノルエピネフリンのレベルを増加させることで、ADHDの症状を改善します。
副作用には頭痛、や吐き気、胃痛、性機能減退、不眠、過眠などが見られることがあります。
効果発現まで2-3週間かかることが多いです。
後発品のジェネリック医薬品も発売されており、抑うつ症状を伴っておらず、忘れ物、や2.3分の遅刻などが多い成人ADHD患者さんへのファーストチョイスとしてよく処方しています。
服用を継続すると「頭の中のごちゃごちゃ」が減ったと困りごとが改善する患者さんが多いです。
インチュニブ(グアンファシン)
インチュニブの有効成分はグアンファシン(Guanfacine)です。これはα2-アドレナリン受容体作動薬に分類されます。グアンファシンは、脳内のα2-アドレナリン受容体に作用し、神経伝達物質の放出を調節することで、注意力や衝動性、多動性を改善します。
ADHDで注意があっちこっちに行ってしまう症状に対して、効果があると落ち着いて話を聞けるようになります。
『ドラえもん』でいうところのジャイアンのようにすぐカッと怒ってしまうような、衝動性が強い患者さんに処方すると、カッと怒る頻度が減ります。
適応外ですが、複雑性PTSDの患者さんに処方するとトラウマのフラッシュバックなどが抑えられる傾向にあります。
インチュニブは「脳内多動を鎮める薬」と捉えることができるかもしれません。
もともと心臓疾患を治す薬として開発された経緯があるので(似た経緯を持つ薬にED治療薬のバイアグラがありますね)、副作用として低血圧を起こすことが知られています。日中眠くなってしまうことも多いので、夕食後に処方することが多いです。
一部の人には、眠気、疲労、頭痛、腹痛、食欲減退、めまいなどの副作用が見られることがあります。副作用が強い場合は、医師に相談することが重要です。また、妊娠の希望がある場合は処方できません。
エビリファイ(アリピプラゾール)
エビリファイは第3世代抗精神病薬に分類されます。抗精神病薬というのは脳内のドーパミン受容体やセロトニン受容体に作用し、神経伝達物質のバランスを調節することで、精神的な症状を改善するお薬の総称です。特に第3世代抗精神病薬はドーパミンの過剰にも不足にも作用する性質を持つことからDSS(ドーパミン・スタビライザー・システム)とも呼ばれています。
エビリファイは、ドーパミンおよびセロトニンの受容体に部分的に作用します。これにより、ドーパミンの過剰または不足を調節し、精神的な症状を改善します。
エビリファイは高容量6㎎~24㎎と低用量3㎎以下で異なる作用を持つ薬でもあります。高容量処方により、統合失調症、双極性障害(躁うつ病)等を治療します。また、うつ病治療の増強療法として使われることも多いお薬です。
いわゆるASD(グレーゾーンも含む)、自閉スペクトラム特性を持つ患者さんは、周囲の音や光といった情報を取捨選択する能力が低いことが多いのですが、(それゆえカクテルパーティ効果などの情報の取捨選択能力が働きにくく、混雑した空間などが苦手な方が多いです)低用量でエビリファイを処方すると、感覚の取捨選択が行いやすくなります。
寝ていても些細な物音で起きてしまう場合などに使うと睡眠の質が上がります。
エビリファイの代表的な副作用にアカシジアや過食がありますが、3㎎以上で出現することが多いので、1日1mgや2㎎で内服している場合はほとんどこれらの症状はでません。
一部の人には、体重増加、眠気、不安、吐き気、頭痛などの副作用が見られることがあります。重篤な副作用が出た場合は医師にご相談ください。
不登校① 不登校児童の数は年間30万人~44万人
2024.09.07
先日パークサイドこころの発達クリニックの医師・心理士向けを対象とした勉強会に参加してきました。院長の原田剛志先生の講義が非常に皆さんにも共有したい内容であったので、ブログに記載させていただきます。
今回のテーマは不登校です。
さまざまな理由で学校に行けなくなる児童・学生がいます。病気や経済的事情だけでなく、自分のつらさをうまく言葉にできず、病院受診もままならないお子さんも少なくありません。
学校に行けなくなる原因には、環境に適応できない状況がベースにあることが多いですが、学校側の問題・本人、家族の問題など個別に考えていく必要がありますが、ある程度システマチックに考えることもできます。
成長とともに学校で直面するハードルには例えば以下のようなものが考えられます。
- 小学校1年生:新しい環境
- 小学校3年生:勉強と9歳の壁(掛け算や割り算といった”概念”を使った計算が壁となる)
- 小学校5年生:女子の成長、スモールグループ・スクールカーストの発生
- 中学校1年生:自分で考えること
この不登校シリーズでは、不登校について構造的に考えていきます。
長期欠席と不登校の定義
年間30日以上の欠席が生じる状態を長期欠席といいます。文部科学省の定義では、不登校の定義を長期欠席者のうち経済的要因により学校に行けなくなったものと病気療養中のため診断名がついたものを除外したものとしています。
文部化科学省の発表ではこの長期欠席者が年間44万人、不登校が年間30万人程度となっていますので
(長期欠席者44万人)- (経済的要因)-(病気療養)>不登校>(文部科学省統計上の不登校30万人)
病気療養中の児童の中には身体の病気で長期入院を余儀なくされているような児童もいるでしょうが、数は限られています。
実際、病院に不登校の相談に行くと何らかの病名がつくことは多いです。小児科や内科で起立調節性障害、自律神経失調症、発達障害などの病名がついていることもあります。
一方で日本の精神科・児童精神科ですぐに受診が可能な診療所は限られていますので、病院に罹っていないために診断名がついていない、本質的に精神科・児童精神科が対応可能な「不登校」はもっといるかもしれません。
したがって、日本の不登校児童は30万人~44万人いるという計算になるのです。
<考察>
30万人いる不登校児童の問題、まずその数の多さに圧倒されました。文部科学省のサイトを参照してみましょう。
令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要 (mext.go.jp)
上記の資料をChat GPTに要点整理させてみると
- ①不登校の増加: 小中学校の不登校児童生徒数は299,048人で、前年度より22.1%増加し、過去最多となりました。
- ②長期欠席者の割合: 在籍生徒の3.2%が不登校でした。
- ③要因: コロナ禍による生活リズムの乱れ、友人関係の構築が難しいことなどが、不登校増加の背景として考えられています。
- ④支援状況: 61.8%の不登校児童生徒が学校内外で相談・指導を受けています。
個人的に気になったのはいじめに関する記載です。SNS時代・コロナ禍の背景になり、いじめの性質が変化しているようです。
- ①いじめ認知件数: 小・中・高等学校および特別支援学校でのいじめの認知件数は681,948件で、前年から約10.8%増加しました。
- ②重大事態: いじめによる重大事態は923件で、前年より約30.7%増加しました。
- ③SNSの影響: ネット上のいじめ認知も増加しており、いじめの認知全体が増えた背景に、SNSを通じた事例の増加があると考えられます。
実は、当院に相談に来る児童の多くは「なんとなく体調が悪くなる」「なんとなく学校に行きたくない」が多く、あきらかないじめを原因とした不登校の相談は少ない傾向にあります。
原田先生の講義では、不適応と過剰適応の問題に注目(今後掲載予定です)しており、当院もそれに倣っているのですが、文科省のレポートではいじめと不登校の因果関係に重点を置いて見ているというのが印象的でした。
頭痛に効く漢方(速効性あり)
2024.08.30
テスラクリニックでは、漢方薬の処方も積極的に行なっております。
世間的には「体質改善」目的に内服して、いつの間にか効いているというようなイメージを
持たれている方が多いのではないでしょうか。
実は、漢方薬の醍醐味は速効性にあります。
必ずしも正確な説明ではないですが、イメージとしては、複数の生薬が「刺激として」体の
中のスイッチをオンにしたりオフにしたりして効果を発揮する場合があります。
そのため、薬を飲む→吸収されて血流に乗って特定部位に効果を発現というような塩梅では
なく、場合によっては舌に薬がついた瞬間に症状が改善されるという報告もあるようです。
今回は、「五苓散」に焦点を絞ってお話をしましょう。
頭痛に効く漢方:五苓散
五苓散は、心療内科・精神科領域では「頭痛」に対して処方されることが多いお薬です。脳
神経外科では、「脳浮腫」といって、脳梗塞や脳腫瘍、脳梗塞などで処方されることがある
お薬です。脳浮腫は、文字通り脳細胞が浮腫んだ状態です。進行すると呼吸や循環の中枢を
圧迫して死に至ることもある状態です。
五苓散はアクアポリン4という、水を細胞内に流入させる出入り口に作用して、水を細胞外
に出して脳浮腫を改善していきます。
専門用語でよくわからないという方や、そもそも他の頭痛薬(ロキソニンなどの消炎鎮痛剤)
や水分を追い出す薬(利尿剤)じゃダメなの?という反応をする方もいますよね。
さて、私たちの体は、概ね7割が水からできていて、絶えず移動しながら入れ替わっていま
す。それがなんらかの原因で全身または特定の部位に溜まったり、不足したりすることがあ
ります。前者はむくみとして、後者は乾燥として症状が現れます。
むくみのような水の代謝異常は急性の炎症によって起こる場合と、心臓(ポンプ)や腎臓(排出
)の動きが悪くなって起こる場合があります。後者の場合は、全身の水の代謝が悪くなって
いるので、利尿剤などの西洋薬が適しています。利尿剤は全身の余分な水を出してくれます
。
しかしながら、水の代謝異常の多くは全身ではなく局所に現れます。足のむくみなどはその
代表です。
局所に現れた水分の代謝異常に対して利尿剤を用いると、全身に作用するために、他の部位
で水不足が発生したり、電解質(Na,K,Clなど)のバランスが崩れたりします。さらに、水が
溜まってしまった原因の解決にも繋がらないです。
理想は、水分過多の部分の水だけ動かすことです。そして、漢方薬は特定の部位の浮腫を解
決できて、五苓散の場合はそれが頭だということです。
なぜそのようなことが可能かというと、私たちの体は諸説ありますが60兆個程度の細胞で
できているとされています。その一つ一つには「アクアポリン」と呼ばれる水の出入り口が
存在します。臓器や器官でどのアクアポリンが存在するかが微妙に異なっていて0〜12ま
で、13種類が存在します。脳細胞にはアクアポリン4が存在しています。これがなんらかの
原因で開きっぱなしになって、脳細胞の中に水がどんどん入ってくるから脳浮腫や頭痛にな
ります。
五苓散は、この開きっぱなしになっているアクアポリン4を閉じて、余分な水の流入を抑え
ることが証明されています。
脳のむくみだけを改善させて、他の部位には一切影響しないというのが特徴です。
五苓散のこういった効果は、その構成成分である蒼朮(そうじゅつ)、猪苓(ちょれい)に含ま
れるマンガンが重要な役割を果たしているとも言われています。
頭痛、二日酔いに効く漢方として、五苓散を覚えておくことをおすすめします。
暑く、体調を崩しやすい日が続いておりますので、みなさま、お気をつけてお過ごしください。
文責:高橋理程
精神科・心療内科の受診費用
2024.08.30
「初診にいくらかかりますか?」というお問い合わせが多いので掲載させていただきます。
実は2024年6月の診療報酬改定で、精神科受診時にかかる負担金額は少し下がりました。
診療報酬改定は2年に1度実施されるので、下記の記事は2026年5月までのものとなります。
初診料:初めてクリニックにかかるとき(もしくは数か月ぶりの受診)
初めて受診される方には30分程度予約時間を確保していただいています。
初診で算定されるものは以下のものがあります。
- 初診料 291点
- 通院精神療法(30分以上)(1以外) 390点
- 心理検査(CES-D、AQ)80点
- 処方箋料 60点
- 夜間・早朝加算(平日18時以降、土曜日12時以降、日曜祝日のみ) 50点
※医療情報取得加算等は一部省略しています。
上記の合計点数が 871点になるので、夜間や土日に受診した場合おおよそ2610円程度になります。
平日日中に受診した場合は150円程度安くなります。
血液検査
うつ症状や不安・動悸・不眠などの症状の裏側に内科的な疾患が隠れていることがあり、別途血液検査を実施することがあります。
鑑別している疾患としては甲状腺機能亢進症による動悸や甲状腺機能低下症による抑うつ状態、鉄欠乏性貧血や潜在性鉄欠乏による不安、抑うつ症状などです。
特に鉄欠乏性貧血や潜在性鉄欠乏症は若い女性に多く見られます。鉄の補充療法で気分の落ち込みが大きく改善することもあり、積極的にくわしくはこちら。
また中性脂肪やコレステロール、血糖値が常に高い状態だと、うつ病の治療に難渋することがあり、生活習慣病の早期発見・早期治療もうつ病治療のうえで大事な要素です。
血液検査は実施内容にもよりますが、費用が2000円~3000円程度かかります。
診断書
病気療養のため会社に提出する診断書や学校に合理的配慮を求める意見書、ハローワークに提出する傷病証明書兼主治医意見書は保険適応外となり5500円(税込)の実費がかかります。
再診:2回目以降の受診
- 再診料 75点
- 通院精神療法5分以上30分未満 290点
- 心理検査(CES-D、AQ) 80点
- 処方箋料 60点
- 夜間・早朝加算(平日18時以降、土曜日12時以降、日曜祝日のみ) 50点
再診時の費用は上記合計が555点となるので1660円程度の自己負担となります。
傷病手当金意見書交付料
傷病手当金意見書交付料には100点の保険点数が設定されており、受診の際に記載することが可能です。
自己負担金は300円程度になります。
傷病手当金の申請期間は初診から最終受診日までとなっております。未来の日付で記載することはできませんのでご了承ください。また、期間中に長く受診できていない期間があると記載することができませんので、継続的な受診をお願いいたします。
暑い夏はオンライン診療で
当院はオンライン診療も行っております。7月8月の日中は40度以上にあがる昨今、うつ状態や発達特性があることによりセルフモニタリング能力が落ちている方の外出は非常に危険です。
オンラインでの初診・再診も受け付けておりますので、暑さで通院が困難な方や遠方からの受診の際にはぜひご利用ください。
- 初診料(情報通信機器)253点
- 再診料(情報通信機器)75点
- 処方箋料 60点
- システム利用料(自費) 2530円
オンラインでの自己負担金は再診の場合2980円程度です。通常の診療より1500円程度高くなりますが、交通費とのバランスを考えると、悪くない選択肢ではないでしょうか。
当院はオンラインで診療を開始しても、途中から通院での診療に切り替えることが可能です。オンラインでのみ診療している東京のクリニックで受診するよりも、何かあったときにすぐ直接相談できる地元のクリニックの方が安心かと思われます。
BFAと松浦流BFAの違い
2024.07.10
戦場鍼(BFA)について | 松浦鍼灸院 | 長野県飯田市の老舗鍼灸院 (acu-japan.com)
75%~80%の人に劇的な効果もたらす米空軍の開発した耳にある5つのポイントへ刺激を加える耳介療法です。
BFA(Battle Field Acupuncture)、戦場鍼とは耳鍼療法のひとつです。
退役空軍軍医大佐のリチャード・C・ニムゾフ氏が軍人の痛み・こわばり・ストレスケアなどに対する治療を目的として2001年に開発しました。アメリカで深刻な社会問題となっている依存性の高いオピオイド鎮痛薬の使用の減少に貢献しています。耳のツボに特殊な鍼を刺鍼する、米軍で正式に採用されている耳鍼療法です。この施術法は、フランスのSedatelec社が製造するASP-Needleという特殊な鍼を使用します。
松浦流BFAとはBFAの治療知識、技術を日本に於けるBFAの第一人者、長野県飯田市にある老舗鍼灸院、松浦鍼灸院の松浦哲也先生が当院院長ともに患者様のために臨床上効果が高いと判断した独自の耳つぼへ微弱電流という身体に感じない程度の弱い電流を流す特別な耳鍼療法です。気分がすぐれない、寝つきが悪い、イライラする、物忘れが多い、手足が冷える、その他自律神経からくる様々な症状の改善に特におすすめの施術です。松浦流BFAはASP-Needleという特殊な鍼を使用せず、他の耳鍼専用に開発された鍼を使用します。ASP-Needleよりも侵害性が少なく、比較的多くの方に受け入れやすい鍼ながらもしっかり効果を生む専用の鍼です。またASP-Needleと違い、刺しっぱなしにせず施術後にすべて抜きますので、後日抜きにきていただく必要もありません。
テスラクリニックでは松浦哲也先生を顧問に迎え、指導を受け、松浦流BFAを提供しています。