【失業保険】ハラスメントによる退職は特定受給資格者に該当する?基準を解説【Aさんのケースの続き】
2025.03.12
Aさんの退職とハラスメントの影響:特定受給資格者の可能性は?
前回の記事では、Aさんがうつ病で休職し、4月1日退職を選択することで失業保険の受給資格を確保する方法について解説しました。しかし、Aさんのケースでは「職場でのいじめ(ハラスメント)があった」と本人が認識しており、「特定受給資格者」に該当する可能性も考えられます。
今回は、「ハラスメントがあった場合、特定受給資格者に該当するのか?」という点について詳しく解説します。
※ 本記事は、失業保険制度の正しい理解を目的としており、不適切な申請を推奨するものではありません。申請の際は、ハローワークや専門家に相談し、適正な手続きを行うことが重要です。
1. 特定受給資格者とは?
「特定受給資格者」は、会社都合退職に近い状況で離職を余儀なくされた人に適用され、通常の自己都合退職よりも失業保険の給付期間が長くなり、給付制限(通常3カ月)がなくなります。
該当するケース(ハローワーク基準)
- 解雇・リストラ・倒産(明確な会社都合)
- 職場環境が原因でやむを得ず退職した場合
- ハラスメント(パワハラ・セクハラ)
- 長時間労働や過重な業務で健康を害した場合
- 賃金未払い・労働条件の重大な変更
→ Aさんのケースでは、ハラスメントが該当する可能性があります。ただし、最終的な判断はハローワークの審査によるため、必ず事前に相談することをおすすめします。
2. Aさんのケース:特定受給資格者に該当するか?
(1) Aさん自身の認識
Aさんは「職場でいじめ(ハラスメント)を受けた」と感じています。ただし、ハローワークで特定受給資格者として認定されるには、客観的な証拠が必要です。
(2) 同期の退職が相次いだ点は証拠になる?
- 「同期が相次いで離職した」ことは、職場環境が悪かった可能性を示唆します。
- ただし、「離職者が多い=ハラスメントがあった」と直接認定されるわけではなく、他の証拠と組み合わせる必要があります。
(3) 会社の対応や労働環境の記録があるか?
- 会社の相談窓口への報告履歴
- 労働基準監督署への相談記録
- メール・録音・証言などの客観的な証拠
→ これらの証拠がなければ、特定受給資格者としての認定は難しいため、慎重に判断する必要があります。
3. 特定理由離職者との違い
項目 | 特定受給資格者 | 特定理由離職者 |
---|---|---|
主な理由 | 会社都合に近い(ハラスメント、リストラなど) | やむを得ない自己都合(病気・介護など) |
失業保険の給付制限 | なし | なし(条件付き) |
給付期間 | 長い | 短め |
証拠の必要性 | 高い(ハラスメントの証拠など) | 比較的低い(診断書など) |
Aさんの場合、ハラスメントの証拠がなければ、特定理由離職者としての申請が現実的です。
4. ハローワークでの申請方法
特定受給資格者を申請するには、以下の証拠が有力になります。
✅ 医師の診断書(ストレスによる体調不良など) ✅ 会社の相談記録(人事・労務部門への報告) ✅ 労働基準監督署への相談履歴 ✅ 同期の退職状況の証明(補助的な証拠)
⚠ 証拠が不十分な場合、特定受給資格者の認定は難しくなるため、まずはハローワークに相談し、適切な申請方法を確認しましょう。
5. まとめ:Aさんの最適な選択肢
💡 ハラスメントの証拠がある場合は、「特定受給資格者」として申請を試みる。ただし、認定には十分な証拠が必要。
💡 証拠が不十分なら、「特定理由離職者」として申請し、必要に応じて証拠を補強する。
💡 ハローワークや労基署、社労士に相談しながら進めるのが望ましい。
不確かな情報で申請すると、後にトラブルになる可能性があるため、必ずハローワークや専門家と相談しながら適正な手続きを行うことをおすすめします。