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【QEEG】PTSDについて脳波でわかること

2024.12.25

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の患者において、QEEG(定量的脳波検査)を用いて観察される特徴的な所見がいくつか報告されています。これらの所見は診断や治療計画の立案に役立つ可能性があります。

PTSDとは

PTSD(Post-Traumatic Stress Disorder)は、生命の危機や深刻な恐怖、トラウマ的な出来事を経験した後に生じる心理的な障害です。トラウマ体験に対する脳や心の適応がうまくいかず、症状が長期間持続するのが特徴です。

詳しくは以下のリンクをご参照ください。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは

PTSDに関連するQEEGの所見

  1. 前頭前野の過活動または低活動
    • 特に前頭前野(特に前頭極、前頭前皮質)の低活動が見られることがあります。
    • 前頭前野は感情調整や意思決定に関与しており、この領域の異常はPTSDの症状(過覚醒や回避行動)に関連することがあります。
  2. アルファ波の異常
    • 安静時アルファ波(特に後頭部で優位)が減少することがあります。
    • アルファ波の減少は過覚醒や不安症状と関連している可能性があります。
  3. デルタ波やシータ波の増加
    • 前頭葉または帯状回でのデルタ波やシータ波の増加が観察される場合があります。
    • これらは、感情処理や記憶の異常な活動に関係していると考えられています。
  4. 高ベータ波の過剰
    • 特に前頭葉や側頭葉で高ベータ波の過剰な活動が報告されています。
    • これは過覚醒状態や過剰なストレス反応を反映している可能性があります。
  5. 脳波のコヒーレンス異常
    • 異なる脳領域間での情報伝達の異常(コヒーレンスの低下または増加)が観察されることがあります。
    • 特に感情処理に関連する領域(扁桃体、前帯状皮質)とのつながりの変化が関与する可能性があります。
  6. 非対称性(α/β比の不均衡)
    • 左右の半球間でのアルファ波やベータ波の不均衡が観察されることがあります。
    • 左右の非対称性は感情処理やストレス応答の異常を示唆します。

QEEGの役割

  • 診断の補助
    QEEG単独でPTSDを診断することはできませんが、臨床的評価を補完するデータとして利用できます。
  • 治療のモニタリング
    rTMSやバイオフィードバック、認知行動療法などの治療効果をモニタリングする手段として役立ちます。
  • パーソナライズ治療
    特定の脳波異常に基づいて、治療のターゲット(例:rTMSの刺激部位)を絞ることが可能です。

注意点

QEEGの所見はあくまで統計的な傾向であり、個々の患者で必ずしも一致するわけではありません。他の神経精神疾患(うつ病、全般性不安障害など)とオーバーラップする特徴もあるため、包括的な臨床評価と組み合わせる必要があります。

福岡市中央区のテスラクリニックではQEEG検査を導入済みですので、PTSDの症状でお困りの方は是非一度ご相談ください。