ブログ記事一覧
季節の変わり目に鍼灸を
2024.10.02
人と自然界の間には密接な関係性があり、特に季節や気候の変化は、人体に対して直接的に大きな影響を与えます。
人は絶えず自然環境の変化に対応しながら生きています。
その自然環境変化のリズムに適応しているだけでも人体はすごいですね。
東洋医学では季節を春、夏、長夏、秋、冬と分けています。
春は肝気、夏は心気、長夏は脾気、秋は肺気、冬は腎気が盛ります。
いわゆる「五行学説」の中の一つです。

季節により気の流れや血流の変化があります。冬はトイレが近くなったり、夏は汗をかきやすかったりも分かりやすいからだの変化です。
このことだけでも季節の変化は人体に生理的・病理的に影響を現します。
特にこの変わり目は体の不調を訴える方が多くいらっしゃいます。うまく切り替え、バトンタッチができていないような状態であると考えれます。自律神経失調などとも表現されます。


当院では鍼灸施術も提供しております。お気軽にお問合せください。
診察と同様にLINEから予約ができます。
イップスとTMS治療
2024.10.01
イップスとは
イップス(Yips)とは、主にスポーツ選手が経験するパフォーマンスの突然の低下を指します。特に、これまで無意識に行っていた動作が突然うまくできなくなることが特徴です。例えば、野球の投手がストライクを投げられなくなったり、ゴルファーがパットをうまく打てなくなるといったケースがよく知られています。
イップスの原因は、精神的な要因や緊張、プレッシャー、トラウマなどが影響していると考えられています。また、身体的な要因や神経系の問題が関与している場合もあります。イップスは個々のケースによって異なるため、治療や対処法もさまざまです。心理的なアプローチやリラクゼーション技法、運動療法などが行われることがあります。
スポーツだけでなく、音楽家や他のパフォーマンスを行う職業の人々にも見られることがあり、広範囲に影響を及ぼす現象です。
心の病気なんでしょうか?
イップスは、必ずしも「心の病気」と一括りにすることはできませんが、精神的な要因が大きく関与している場合が多いです。具体的には、以下のような要素がイップスの原因となることがあります:
- パフォーマンスに対する過度なプレッシャーや不安:試合や演奏、仕事での期待に対するプレッシャーが増し、ストレスが過剰になると、これまで問題なく行っていた動作に影響を及ぼすことがあります。
- トラウマ的な経験:過去に失敗や怪我を経験したことがトラウマとなり、それが原因で同じ動作を行う際に不安や緊張が生じ、動作がうまくいかなくなることがあります。
- パフォーマンスの恐怖:成功し続けなければならないというプレッシャーや、失敗することへの恐怖感が、動作を制御する筋肉に過剰な緊張を引き起こすことがあります。
- 不安障害や強迫性障害との関連:イップスが不安障害や強迫性障害と関連するケースもあり、精神的な問題として捉えられることもあります。
ただし、イップスは必ずしも精神疾患ではなく、むしろ身体的な要素と心理的な要素の複合的な影響として捉えることが多いです。一部のケースでは、神経筋の機能不全が影響していることもあり、単純に心の問題として分類するのは適切ではありません。
治療や対処法としては、認知行動療法(CBT)やリラクゼーション技法、トラウマに対するカウンセリングなどの心理的アプローチが有効な場合があります。また、場合によっては運動療法や、身体的なリハビリテーションが行われることもあります。
イップスに対してTMS治療を行うことは有効でしょうか
1. TMSは不安やうつの治療に効果がある
イップスの背景には、不安やストレスが関与しているケースが多いため、TMSが有効である可能性があります。TMSは、特にうつ病や不安障害の治療に対して効果が確認されており、特定の脳の領域を刺激することで、これらの症状を緩和することが期待できます。
2. 運動制御に関連する脳の領域をターゲットにできる
TMSは、脳の特定の領域を非侵襲的に刺激できる治療法です。イップスは、運動制御や運動学習に関連する脳の領域、特に運動野や前頭前野などが関与していると考えられます。TMSは、これらの領域に働きかけることで、運動機能の回復や不安の軽減をサポートできる可能性があります。
3. 神経可塑性の促進
TMSは脳の神経可塑性を促進する作用があるため、イップスによって損なわれた動作やパフォーマンスの再学習を助けることができるかもしれません。脳の適切な部分を繰り返し刺激することで、新しい神経経路を形成し、問題のある動作を改善する可能性があります。
4. 精神面の安定
イップスに伴うパフォーマンス不安や自己評価の低下に対して、TMSが精神面での安定を提供することで、イップスの症状が緩和される可能性もあります。
限界と注意点
現在のところ、イップスに対するTMSの効果に関しては限定的な研究しかなく、標準的な治療法としては確立されていません。TMSは、一般に安全性が高い治療法とされていますが、イップスの原因が個々の患者で異なるため、必ずしも全てのケースで効果があるとは限りません。
推奨されるアプローチ
イップスの治療では、通常、心理療法(認知行動療法など)やリラクゼーション技法、またはトラウマに対するアプローチがまず試みられます。TMSは、これらの治療が効果を発揮しない場合や、並行して用いる補完的な治療として考えられることがあります。
もしTMS治療を検討されているのであれば、まずイップスの原因が心理的なものか、神経学的なものかを評価し、専門の医師と相談しながら適切な治療計画を立てることが重要です。
推奨されるTMS治療のプロトコル
イップスについてはまだ研究段階の側面も多く、当院では確立した手法があるわけではありません。
患者さんの個々の症状に合わせ、DLPFC(背外側前頭前野)や運動野のM1領域に対して、6分間のiTBS、16分間のTBS、16分間の低頻度刺激を組み合わせ、最適と考えられる治療プランをご提案しています。
テスラクリニックの発達障害診療:コンサータは出せません
2024.09.13
当院では発達障害の診療を行っていますが、コンサータの処方はできません。その代わり、患者さんの困りごとに合わせて、処方内容を調整しています。
テスラクリニックの発達障害診療で用いることがある代表的なお薬には以下のものがあります。
- ストラテラ(アトモキセチン)
- インチュニブ(グアンファシン)
- エビリファイ(アリピプラゾール)
上記に加えて、漢方薬やレキサルティ(ブレクスピプラゾール)等を組み合わせることもあります。
またうつ状態や不眠が強い場合には抗うつ薬を併用することや、うつ病治療を優先することがあります。
ストラテラ(アトモキセチン)カプセル
青いカプセルに入っているのが特徴的な薬です。(他の剤形もあります)
ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(NRI)で、脳内のノルエピネフリンのレベルを増加させることで、ADHDの症状を改善します。
副作用には頭痛、や吐き気、胃痛、性機能減退、不眠、過眠などが見られることがあります。
効果発現まで2-3週間かかることが多いです。
後発品のジェネリック医薬品も発売されており、抑うつ症状を伴っておらず、忘れ物、や2.3分の遅刻などが多い成人ADHD患者さんへのファーストチョイスとしてよく処方しています。
服用を継続すると「頭の中のごちゃごちゃ」が減ったと困りごとが改善する患者さんが多いです。
インチュニブ(グアンファシン)
インチュニブの有効成分はグアンファシン(Guanfacine)です。これはα2-アドレナリン受容体作動薬に分類されます。グアンファシンは、脳内のα2-アドレナリン受容体に作用し、神経伝達物質の放出を調節することで、注意力や衝動性、多動性を改善します。
ADHDで注意があっちこっちに行ってしまう症状に対して、効果があると落ち着いて話を聞けるようになります。
『ドラえもん』でいうところのジャイアンのようにすぐカッと怒ってしまうような、衝動性が強い患者さんに処方すると、カッと怒る頻度が減ります。
適応外ですが、複雑性PTSDの患者さんに処方するとトラウマのフラッシュバックなどが抑えられる傾向にあります。
インチュニブは「脳内多動を鎮める薬」と捉えることができるかもしれません。
もともと心臓疾患を治す薬として開発された経緯があるので(似た経緯を持つ薬にED治療薬のバイアグラがありますね)、副作用として低血圧を起こすことが知られています。日中眠くなってしまうことも多いので、夕食後に処方することが多いです。
一部の人には、眠気、疲労、頭痛、腹痛、食欲減退、めまいなどの副作用が見られることがあります。副作用が強い場合は、医師に相談することが重要です。また、妊娠の希望がある場合は処方できません。
エビリファイ(アリピプラゾール)
エビリファイは第3世代抗精神病薬に分類されます。抗精神病薬というのは脳内のドーパミン受容体やセロトニン受容体に作用し、神経伝達物質のバランスを調節することで、精神的な症状を改善するお薬の総称です。特に第3世代抗精神病薬はドーパミンの過剰にも不足にも作用する性質を持つことからDSS(ドーパミン・スタビライザー・システム)とも呼ばれています。
エビリファイは、ドーパミンおよびセロトニンの受容体に部分的に作用します。これにより、ドーパミンの過剰または不足を調節し、精神的な症状を改善します。
エビリファイは高容量6㎎~24㎎と低用量3㎎以下で異なる作用を持つ薬でもあります。高容量処方により、統合失調症、双極性障害(躁うつ病)等を治療します。また、うつ病治療の増強療法として使われることも多いお薬です。
いわゆるASD(グレーゾーンも含む)、自閉スペクトラム特性を持つ患者さんは、周囲の音や光といった情報を取捨選択する能力が低いことが多いのですが、(それゆえカクテルパーティ効果などの情報の取捨選択能力が働きにくく、混雑した空間などが苦手な方が多いです)低用量でエビリファイを処方すると、感覚の取捨選択が行いやすくなります。
寝ていても些細な物音で起きてしまう場合などに使うと睡眠の質が上がります。
エビリファイの代表的な副作用にアカシジアや過食がありますが、3㎎以上で出現することが多いので、1日1mgや2㎎で内服している場合はほとんどこれらの症状はでません。
一部の人には、体重増加、眠気、不安、吐き気、頭痛などの副作用が見られることがあります。重篤な副作用が出た場合は医師にご相談ください。
頭痛に効く漢方(速効性あり)
2024.08.30
テスラクリニックでは、漢方薬の処方も積極的に行なっております。
世間的には「体質改善」目的に内服して、いつの間にか効いているというようなイメージを
持たれている方が多いのではないでしょうか。
実は、漢方薬の醍醐味は速効性にあります。
必ずしも正確な説明ではないですが、イメージとしては、複数の生薬が「刺激として」体の
中のスイッチをオンにしたりオフにしたりして効果を発揮する場合があります。
そのため、薬を飲む→吸収されて血流に乗って特定部位に効果を発現というような塩梅では
なく、場合によっては舌に薬がついた瞬間に症状が改善されるという報告もあるようです。
今回は、「五苓散」に焦点を絞ってお話をしましょう。
頭痛に効く漢方:五苓散
五苓散は、心療内科・精神科領域では「頭痛」に対して処方されることが多いお薬です。脳
神経外科では、「脳浮腫」といって、脳梗塞や脳腫瘍、脳梗塞などで処方されることがある
お薬です。脳浮腫は、文字通り脳細胞が浮腫んだ状態です。進行すると呼吸や循環の中枢を
圧迫して死に至ることもある状態です。
五苓散はアクアポリン4という、水を細胞内に流入させる出入り口に作用して、水を細胞外
に出して脳浮腫を改善していきます。
専門用語でよくわからないという方や、そもそも他の頭痛薬(ロキソニンなどの消炎鎮痛剤)
や水分を追い出す薬(利尿剤)じゃダメなの?という反応をする方もいますよね。
さて、私たちの体は、概ね7割が水からできていて、絶えず移動しながら入れ替わっていま
す。それがなんらかの原因で全身または特定の部位に溜まったり、不足したりすることがあ
ります。前者はむくみとして、後者は乾燥として症状が現れます。
むくみのような水の代謝異常は急性の炎症によって起こる場合と、心臓(ポンプ)や腎臓(排出
)の動きが悪くなって起こる場合があります。後者の場合は、全身の水の代謝が悪くなって
いるので、利尿剤などの西洋薬が適しています。利尿剤は全身の余分な水を出してくれます
。
しかしながら、水の代謝異常の多くは全身ではなく局所に現れます。足のむくみなどはその
代表です。
局所に現れた水分の代謝異常に対して利尿剤を用いると、全身に作用するために、他の部位
で水不足が発生したり、電解質(Na,K,Clなど)のバランスが崩れたりします。さらに、水が
溜まってしまった原因の解決にも繋がらないです。
理想は、水分過多の部分の水だけ動かすことです。そして、漢方薬は特定の部位の浮腫を解
決できて、五苓散の場合はそれが頭だということです。
なぜそのようなことが可能かというと、私たちの体は諸説ありますが60兆個程度の細胞で
できているとされています。その一つ一つには「アクアポリン」と呼ばれる水の出入り口が
存在します。臓器や器官でどのアクアポリンが存在するかが微妙に異なっていて0〜12ま
で、13種類が存在します。脳細胞にはアクアポリン4が存在しています。これがなんらかの
原因で開きっぱなしになって、脳細胞の中に水がどんどん入ってくるから脳浮腫や頭痛にな
ります。
五苓散は、この開きっぱなしになっているアクアポリン4を閉じて、余分な水の流入を抑え
ることが証明されています。
脳のむくみだけを改善させて、他の部位には一切影響しないというのが特徴です。
五苓散のこういった効果は、その構成成分である蒼朮(そうじゅつ)、猪苓(ちょれい)に含ま
れるマンガンが重要な役割を果たしているとも言われています。
頭痛、二日酔いに効く漢方として、五苓散を覚えておくことをおすすめします。
暑く、体調を崩しやすい日が続いておりますので、みなさま、お気をつけてお過ごしください。
文責:高橋理程
精神科・心療内科の受診費用
2024.08.30
「初診にいくらかかりますか?」というお問い合わせが多いので掲載させていただきます。
実は2024年6月の診療報酬改定で、精神科受診時にかかる負担金額は少し下がりました。
診療報酬改定は2年に1度実施されるので、下記の記事は2026年5月までのものとなります。
初診料:初めてクリニックにかかるとき(もしくは数か月ぶりの受診)
初めて受診される方には30分程度予約時間を確保していただいています。
初診で算定されるものは以下のものがあります。
- 初診料 291点
- 通院精神療法(30分以上)(1以外) 390点
- 心理検査(CES-D、AQ)80点
- 処方箋料 60点
- 夜間・早朝加算(平日18時以降、土曜日12時以降、日曜祝日のみ) 50点
※医療情報取得加算等は一部省略しています。
上記の合計点数が 871点になるので、夜間や土日に受診した場合おおよそ2610円程度になります。
平日日中に受診した場合は150円程度安くなります。
血液検査
うつ症状や不安・動悸・不眠などの症状の裏側に内科的な疾患が隠れていることがあり、別途血液検査を実施することがあります。
鑑別している疾患としては甲状腺機能亢進症による動悸や甲状腺機能低下症による抑うつ状態、鉄欠乏性貧血や潜在性鉄欠乏による不安、抑うつ症状などです。
特に鉄欠乏性貧血や潜在性鉄欠乏症は若い女性に多く見られます。鉄の補充療法で気分の落ち込みが大きく改善することもあり、積極的にくわしくはこちら。
また中性脂肪やコレステロール、血糖値が常に高い状態だと、うつ病の治療に難渋することがあり、生活習慣病の早期発見・早期治療もうつ病治療のうえで大事な要素です。
血液検査は実施内容にもよりますが、費用が2000円~3000円程度かかります。
診断書
病気療養のため会社に提出する診断書や学校に合理的配慮を求める意見書、ハローワークに提出する傷病証明書兼主治医意見書は保険適応外となり5500円(税込)の実費がかかります。
再診:2回目以降の受診
- 再診料 75点
- 通院精神療法5分以上30分未満 290点
- 心理検査(CES-D、AQ) 80点
- 処方箋料 60点
- 夜間・早朝加算(平日18時以降、土曜日12時以降、日曜祝日のみ) 50点
再診時の費用は上記合計が555点となるので1660円程度の自己負担となります。
傷病手当金意見書交付料
傷病手当金意見書交付料には100点の保険点数が設定されており、受診の際に記載することが可能です。
自己負担金は300円程度になります。
傷病手当金の申請期間は初診から最終受診日までとなっております。未来の日付で記載することはできませんのでご了承ください。また、期間中に長く受診できていない期間があると記載することができませんので、継続的な受診をお願いいたします。
暑い夏はオンライン診療で

当院はオンライン診療も行っております。7月8月の日中は40度以上にあがる昨今、うつ状態や発達特性があることによりセルフモニタリング能力が落ちている方の外出は非常に危険です。
オンラインでの初診・再診も受け付けておりますので、暑さで通院が困難な方や遠方からの受診の際にはぜひご利用ください。
- 初診料(情報通信機器)253点
- 再診料(情報通信機器)75点
- 処方箋料 60点
- システム利用料(自費) 2530円
オンラインでの自己負担金は再診の場合2980円程度です。通常の診療より1500円程度高くなりますが、交通費とのバランスを考えると、悪くない選択肢ではないでしょうか。
当院はオンラインで診療を開始しても、途中から通院での診療に切り替えることが可能です。オンラインでのみ診療している東京のクリニックで受診するよりも、何かあったときにすぐ直接相談できる地元のクリニックの方が安心かと思われます。
BFAと松浦流BFAの違い
2024.07.10

戦場鍼(BFA)について | 松浦鍼灸院 | 長野県飯田市の老舗鍼灸院 (acu-japan.com)
75%~80%の人に劇的な効果もたらす米空軍の開発した耳にある5つのポイントへ刺激を加える耳介療法です。
BFA(Battle Field Acupuncture)、戦場鍼とは耳鍼療法のひとつです。
退役空軍軍医大佐のリチャード・C・ニムゾフ氏が軍人の痛み・こわばり・ストレスケアなどに対する治療を目的として2001年に開発しました。アメリカで深刻な社会問題となっている依存性の高いオピオイド鎮痛薬の使用の減少に貢献しています。耳のツボに特殊な鍼を刺鍼する、米軍で正式に採用されている耳鍼療法です。この施術法は、フランスのSedatelec社が製造するASP-Needleという特殊な鍼を使用します。
松浦流BFAとはBFAの治療知識、技術を日本に於けるBFAの第一人者、長野県飯田市にある老舗鍼灸院、松浦鍼灸院の松浦哲也先生が当院院長ともに患者様のために臨床上効果が高いと判断した独自の耳つぼへ微弱電流という身体に感じない程度の弱い電流を流す特別な耳鍼療法です。気分がすぐれない、寝つきが悪い、イライラする、物忘れが多い、手足が冷える、その他自律神経からくる様々な症状の改善に特におすすめの施術です。松浦流BFAはASP-Needleという特殊な鍼を使用せず、他の耳鍼専用に開発された鍼を使用します。ASP-Needleよりも侵害性が少なく、比較的多くの方に受け入れやすい鍼ながらもしっかり効果を生む専用の鍼です。またASP-Needleと違い、刺しっぱなしにせず施術後にすべて抜きますので、後日抜きにきていただく必要もありません。
テスラクリニックでは松浦哲也先生を顧問に迎え、指導を受け、松浦流BFAを提供しています。
BFA(戦場鍼)って?
2024.07.10

体の痛みなどに対してポイントを刺激する治療法は紀元前から行われていました。初期は坐骨神経痛に対し、鍛冶屋の人が耳のポイントに熱したアイロンで焼き、治療をしていました。時代の変化ともに、憚れたりしながらも研究は進み、1950年ごろからフランスのポール・ノジェ医師を中心に耳介、耳鍼療法として確立され、今日の鍼灸治療に生かされています。体の痛みに主に用いられていますが、耳には迷走神経(内臓などをつかさどる神経)支配もあり、自律神経の調整も目的となります。鎮痛作用だけでなく、精神活動にも大きく関わります。
BFA(Battle Field Acupuncture)、戦場鍼とは耳鍼療法のひとつです。耳のツボに特殊な鍼を刺鍼する、米軍で正式に採用されている耳鍼療法です。この施術法は、フランスのSedatelec社が製造するASP-Needleという特殊な鍼を使用します。
75%~80%の人に劇的な効果もたらす米空軍の開発した耳にある5つのポイントへ刺激を加える耳介療法です。
退役空軍軍医大佐のリチャード・C・ニムゾフ氏が軍人の痛み・こわばり・ストレスケアなどに対する治療を目的として2001年に開発しました。
アメリカで深刻な社会問題となっている依存性の高い「オピオイド鎮痛薬」の代替医療として国がBFAを導入しています。短時間で、施術の難易度が低く、高い治療効果を得られる耳鍼療法であるため、テレビで取り上げられるほど、注目されています。
当院はBFA研究会を前身とした日本ASPセラピー普及協会に加入しております。
TMS治療とは
2024.06.15
経頭蓋磁気刺激法(けいとうがいじきしげきほう、英: Transcranial magnetic stimulation、TMS)は、主に8の字型の電磁石を使用して急激な磁場の変化を生み出し、ファラデーの電磁誘導の法則によって脳内に弱い電流を誘導することで、脳のニューロンを非侵襲的に興奮させる治療法です。この方法は、うつ病や頭痛、脳梗塞、パーキンソン症候群、ジストニア、耳鳴りなど、多くの神経症状や精神医学的な症状に対して有効であるとされています。
TMSにはいくつかの異なる形式がありますが、特に反復経頭蓋磁気刺激方(rTMS)は、脳に長期的な変化を与えることができるとされています。
安全性に関しては、TMSは一般的に安全な治療法とされていますが、頭痛やごくまれに、けいれんなどの副作用が報告されていることもあります。治療を受ける際には、医師としっかりと相談し、適切な情報を得ることが重要です。
TMS治療はどうして効果が出てくるのか?
近年の研究では、脳の試験可塑性を誘導することでシナプスの活動状態を改善させるとこがわかりました。脳の神経可塑性(brain neuroplasticity)とは、脳が経験に応じて変化する能力を指します。脳は神経細胞のネットワークで構成されており、そのネットワークは学習や記憶の形成に応じて、つながり方や機能が変化します。このような神経可塑性は、脳の発達や修復に重要な役割を果たします。
うつ病を発症している方や、発達障害の方は神経可塑性が弱いため、TMS治療で磁気を当てることで脳の神経細胞の電流が流れやすくなるようにし、神経可塑性を修正します。脳のバランスの崩れを整えることができ、神経の結びつきの柔軟さが回復してくると考えられています。

左脳にTMSを当てた時に期待される効果
反芻思考(ぐるぐる思考)の改善
固定観念、こだわりの改善
不安、不眠、過眠の改善
感覚の過敏の改善
気持ちの切り替えやすさ(まあいいかという感覚を起こりやすくする)
右脳のTMSを当てた時に期待される効果
コミュニケーション能力の改善
緊張の緩和
衝動性の改善
気分の浮き沈みの緩和
メタ認知能力(自己の認識を更に理解する)の改善
集中力、注意力の改善
後回し癖の改善
ディスレクシア(発達性読み書き障害)、ディスグラフィア(書字障害)の改善

TMS治療のメリット
このような方におすすめです
TMS治療は基本的に保険適応外の治療のため、精神疾患をもっているからといって全員におすすめというものではありません。しかし、治療効果の高さや副作用の少なさから、以下のような方におすすめです。
・副作用などが理由でお薬を減らしたい方、なるべく使用したくない方
・治療期間を短期間にとどめたい方
・お薬での治療の効果が難渋しており、他の治療方法を試してみたい方
・なるべく早く治療して、治療期間を短くし、仕事への復帰を早くしたい方
TMS治療中は座っているだけ
治療中、患者様は専用チェアーに座っているだけです。治療の際には頭部にコイルを固定しますが、位置がずれないように少し押し込むように当てます。
刺激強度を探しているときには、刺激に伴って痛みが出てくることは非常に少ないです。刺激を行っているときは、刺激音(ペンでコツコツと叩くような感覚)が生じます。
治療中に眠ると効果が弱まってしまうので、刺激中は眠らないようにしてください。
- 施術の準備:専用チェアーに座り、刺激部位と強度を同定します。
- 刺激部位の決定(初回のみ):効果を最大化にするため、最適な刺激部位を同定します。
- 刺激強度の決定(初回のみ):刺激部位が同定できたら、適切な刺激強度を測定します。
- 治療開始:治療中、患者様は専用チェアーに座っているだけです。
TMS治療のデメリット
週に1回から3回程度治療を受けなくてはいけない。治療時間は1回16分程度ですが、
薬物療法の月1回や2回の受診とは違い、治療頻度が高い。
物理的に受けられない方もいる(禁忌)
刺激部位に近接する金属(人工内耳、磁性体クリップ、深部脳刺激・迷走神経刺激などの刺激装置)、心臓ペースメーカーを有する患者。
刺激部位に近接しない金属(体内埋設型の投与ポンプなど)、頭蓋内のチタン製品、あるいは磁力装着する義歯・インプラントを有する患者。てんかん・けいれん発作の既往、けいれん発作のリスクのある頭蓋内病変、けいれん発作の闘値を低下させる薬物(メチルフェニデート、ケタミンなど)の服用、アルコール・覚せい剤の乱用・離脱時、妊娠中、重篤な身体疾患を合併する場合など。
治療費が高い
日本では2019年に重度のうつ病に対するTMS治療が保険適応診療として認定されましたが、それ以外は保険適応外になります。

最後に
TMS治療は、うつ病やその他の神経系の障害に対する有望な治療法として注目されています。この治療法は、薬物療法に比べて副作用が少なく、多くの患者さんにとって効果的な選択肢となり得ます。治療期間や頻度、そして個々の症状に合わせたカスタマイズが可能であるため、患者さん一人ひとりのニーズに応じた治療が行える点も大きな利点です。今後もTMS治療の研究と臨床試験が進むにつれて、より多くの人々がこの治療から恩恵を受けられることを期待しています。
最高のコンディションを引き出すには
2024.05.31
学習や仕事、日常の過ごし方において、最高のパフォーマンスを発揮するには、自分の能力やスキルを向上させる必要があります。
しかし、同じくらい大切な要素は、最適な状態で行動することです。コンディションが整っていないと、最高の実力を発揮することが難しくなります。最高のパフォーマンスを実現することで、自分の目標にスムーズに近づくことができるでしょう。
そして、充実感ある時間を過ごし、満足のいく成果を得ることもできます。
しっかりとコンディションを整えてから仕事や学習に取り組むことで、これまでの努力を最大限に活かし、より充実した時間を過ごしながら目標に近づけるはずです。心身共に最高のコンディションを維持するためのいくつかの方法についてご紹介します。
睡眠
健康的な状態を維持するためには、十分な睡眠が不可欠です。十分な睡眠を確保しないと、体調が悪化し、思考力も低下します。
成人の場合、個人差はあるものの最低でも6時間以上の睡眠を確保することが良いとされています。また一般的には、起床して日光や明るい光を浴びてから15〜17時間後に眠くなります。 そのため、 起きてから15〜17時間後に寝るのがベストで15〜24時間後が理想の寝る時間帯となります。
この睡眠時間を確保することで、脳の機能を最大限に活用でき、集中力やストレスの軽減にも効果があります。
睡眠でまず大事になるのは睡眠時間をきちんと確保することです。日中眠くなることが多かったり、仕事や学校のない休日に朝遅くまで寝てしまっている場合は、日ごろ睡眠時間が足りないというサインになります。
知らず知らずのうちに睡眠負債がたまっていることもありますので、睡眠時間を確保することは私たちの健康にとってとても重要なことです。睡眠不足だと風邪をひきやすくなったり、高血圧や糖尿病の要因にもなりうることが報告されています。
また、記憶力や感情、パフォーマンスにも大きな影響をもたらすことも報告されており、睡眠不足による経済損失は膨大なものになるといわれています。必要な睡眠時間を確保することはとても大事なことなのです。
実は睡眠不足以外にも無視できない問題があります。それは体内リズムが乱れてしまうことです。海外旅行と言わないまでも、夜更かしや朝寝坊などによって私たちの体内リズムは簡単に乱れてしまいます。体内リズムが乱れてしまうと寝たいときに眠れなくなったり、睡眠時間が十分なはずなのに目覚めが悪くなってしまったりと、良い睡眠が得られにくくなります。
体内リズムの乱れもまた肥満といった生活習慣病や、日中の疲労感、パフォーマンスにも関わっているということが報告されています。毎朝同じ時間に太陽の光を浴びること、朝食をしっかり食べること、夜に強い光を浴びないといったことが体内リズムを整えるうえで重要になります。
睡眠には「脳や身体の休養」「疲労回復」「免疫機能の増加」「記憶の固定」「感情整理」など多くの重要な役割があります。うまく睡眠不足を解消しながら、体内リズムをコントロールすることが大切です。
関連記事:【入浴と睡眠】

食事
脳を働かせるためにも、体を動かすためにも、私たちはエネルギーを必要とします。日々の生活において、規則正しい食事のタイミングは、血糖値の安定とエネルギーレベルの維持に役立ちます。朝食をしっかり摂り1日3食のバランスの取れた食事を心掛けましょう。(諸説あり、意図的なファスティングが好ましい場合もあります。)
タンパク質、炭水化物、健康的な脂肪、ビタミン、ミネラルをバランスよくしっかりと摂りましょう。
加工食品や高砂糖食品は健康に悪影響を及ぼす可能性があります。できるだけ自然な食品を選びましょう。
アルコールやカフェインの過剰摂取、漫然とした摂取を避けるようにしましょう。アルコールやカフェインには体に負担をかける可能性がありますので、適度な摂取を心掛けましょう。
これらのポイントを意識することで、最高のコンディションを保つことができます。
運動
運動は体力を向上させ、ストレスを軽減し、心身の健康をサポートします。ウォーキング、ジョギング、ヨガ、筋力トレーニングなど、自分に合った好きな運動を取り入れていきましょう。
ストレス管理
ストレスは体に悪影響を及ぼすことがあります。リラックス法や瞑想、深呼吸などを試して、ストレスを軽減しましょう。
水分
水分は体の機能をサポートし、代謝を促進します。
1日に約2リットルの水を目安に水分を摂ることで、体内の機能が最適に働きます。
社交的なつながりを持つ
友人や家族との交流は、心の健康に良い影響を与えます。人々とつながり、互いに支え合うことで精神の安定にも繋がることでしょう。
まとめ
不安や心配事を持ち続けることは、良いコンディションとは言えません。メンタルを整えることで、最高のパフォーマンスを発揮することが可能となります。散歩や音楽を聴くなど、気持ちをリフレッシュさせる方法を取り入れて、ポジティブな状態を保ちましょう。
コンディションを整えるということを自分の中でルーティン化すれば、常に良いパフォーマンスを発揮し目標の達成などにつながっていくことでしょう。
食事も睡眠も毎日やることなのに、ついつい疎かになってしまいがちです。できることから取り入れて、少しずつでも学習や仕事のパフォーマンスを引き上げていきましょう。
関連記事:rTMS治療

歩いた方がうつに良い?
2024.05.24
うつ病の治療は、抗うつ薬などを投薬する薬物療法とカウンセリングなどによる精神療法を併用して行われますが、うつ病になじまないように思われる運動もまた、症状の改善に効果があるといわれています。
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うつ病の原因はまだ完全に解明されていませんが、最近の研究では、ストレスに晒されると脳の前頭前野・海馬などが萎縮し、BDNF(脳由来神経栄養因子)が低下し、これがうつ病を誘発するのではないかと考えられています。
運動をすると、前頭前野や海馬の体積が増え、血流が増加し、BDNFが増加します。BDNFは、神経の栄養のようなもので、BDNFが多くなると脳の神経が活性化され、心を安定化させる働きをもつセロトニンやノルアドレナリンなどの分泌が増加し、うつ病の改善を促進するといわれています。
ウォーキングをすると太陽を浴びることになります。この太陽を浴びるという行為が重要です。太陽光により脳内でセロトニンの分泌が開始。このセロトニンも神経伝達物質で「幸せホルモン」と呼ばれるものです。ウォーキングのように一定のリズムを刻む運動の場合、セロトニンをさらに活性化させます。結果としてウォーキングによって幸せを感じるのです。
このセロトニンはうつとも大きくかかわっています。セロトニンの分泌量が少ないとうつになりやすいという傾向があります。外で太陽の光を浴びながらウォーキングを行えばセロトニンが分泌されうつを遠ざけることも可能なります。実際にウォーキングを習慣化している人はうつの発症率が3割ほど低いという研究結果も出ています。また、運動をすると気分が爽快になり、心地よい疲労感に襲われることから質の良い深い睡眠を得られるのです。

どんな運動?
無酸素運動よりも長くゆるめの有酸素運動の方が効果的です。有酸素運動とは、酸素を多く取り入れ、その取り入れた酸素で体内の脂肪を燃焼させるものための運動です。
ウォーキング、ゆっくりした水泳などは有酸素運動です。無酸素運動とは、基礎代謝を増やす運動で、筋力トレーニング、短距離走などをさします。ただし、有酸素運動でもあまりに長時間やると負担になるので、ほどほどにしておくようにしましょう。
毎日決まったタイミングで…という方もいう方もいるでしょうが、メンタルに効果のあるウォーキングなら「思い立ったタイミングで」というのがおすすめです。好きな時に他の予定にしばられないでウォーキングをするということ自体がストレスを軽減させます。タイミングを決められないと続かないという場合はランチに行くとき、出勤の時などと決めても良いでしょう。
ウォーキングを行うのに適切な時間は30分くらいといわれています。男性なら一日9200歩、女性の場合は8300歩が日本で勧められている目標歩数です。これは1時間半ほど歩くことでクリア可能な数値なのですが、人間は日常生活でも歩きます。このことを勘案して健康的なウォーキングは30分くらい、楽しいと感じる時間で切り上げるのがおすすめです。翌日まで疲れが残るような運動はお勧めできません。
歩くという行為は単調な運動の繰り返しなので思考がクリアになりやすいといわれています。歩くことで時間的にも考え的にも余裕を持ち、が精神面での安定につながっていくことでしょう。ウォーキングにメンタルを変える即効性はありませんが、長く続けることで安定した状態を保ちやすくなります。
運動がうつ病に効果があるといっても、運動だけでうつ病が治るというものではありません。医師の指示による薬物療法、精神療法、あるいはストレスの元となっている環境調整などを行っていきましょう。
うつ病は、意欲が減衰していきます。重度のうつ病だとベッドからでることも困難な時があります。そのような状態では運動することは不可能です。
また、いくら運動が効果的だからと言っても、強度が高い運動を行うとBDNFが増加する一方で、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌も促進されてしまうことがありますので症状や体調に合わせたほどほどの運動が、運動療法の基本です。
うつ病で運動療法を行う時の注意点
・特に急性期には無理をせずとにかく休むことを優先に
・気分が悪い時は無理をしない
・義務感を持ちすぎない
・まずは軽いウォーキングから
・自宅の周りの危なくない環境で
・心臓、高血圧などがあれば内科医にも相談しましょう
当院で行っているrTMS治療について
このようにうつ病にはウォーキングがとても効果的ですが当院では、内服をしないうつ病治療rTMS(反復的経頭蓋磁器刺激法)を取り入れています。頭に直接、強力な磁気をあて、刺激を与えることで脳の機能低下を改善することを目的とした治療法です。
rTMS治療は前頭葉の一部分に磁気をあてて刺激を与えることで、前頭葉の活動を活性化させる一方、前頭葉の機能低下を補うためにオーバーヒートしている脳の扁桃体という部位の過活動を抑え、脳機能のバランスを取り戻しうつ病を改善させていきます。
rTMS治療の利点は体の負担は少なく、即効性があるということです。うつ病治療は本来であれば中途半端にすることなく、学校や勤務先を休んで、しっかりと治療に専念することが望ましいのですが、外来でrTMS治療を受け副作用のほとんどない運動療法を取り入れつつ日常生活を維持加療できる場合もありますので、お気軽にご相談ください。