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頭痛に効く漢方(速効性あり)
2024.08.30
テスラクリニックでは、漢方薬の処方も積極的に行なっております。
世間的には「体質改善」目的に内服して、いつの間にか効いているというようなイメージを
持たれている方が多いのではないでしょうか。
実は、漢方薬の醍醐味は速効性にあります。
必ずしも正確な説明ではないですが、イメージとしては、複数の生薬が「刺激として」体の
中のスイッチをオンにしたりオフにしたりして効果を発揮する場合があります。
そのため、薬を飲む→吸収されて血流に乗って特定部位に効果を発現というような塩梅では
なく、場合によっては舌に薬がついた瞬間に症状が改善されるという報告もあるようです。
今回は、「五苓散」に焦点を絞ってお話をしましょう。
頭痛に効く漢方:五苓散
五苓散は、心療内科・精神科領域では「頭痛」に対して処方されることが多いお薬です。脳
神経外科では、「脳浮腫」といって、脳梗塞や脳腫瘍、脳梗塞などで処方されることがある
お薬です。脳浮腫は、文字通り脳細胞が浮腫んだ状態です。進行すると呼吸や循環の中枢を
圧迫して死に至ることもある状態です。
五苓散はアクアポリン4という、水を細胞内に流入させる出入り口に作用して、水を細胞外
に出して脳浮腫を改善していきます。
専門用語でよくわからないという方や、そもそも他の頭痛薬(ロキソニンなどの消炎鎮痛剤)
や水分を追い出す薬(利尿剤)じゃダメなの?という反応をする方もいますよね。
さて、私たちの体は、概ね7割が水からできていて、絶えず移動しながら入れ替わっていま
す。それがなんらかの原因で全身または特定の部位に溜まったり、不足したりすることがあ
ります。前者はむくみとして、後者は乾燥として症状が現れます。
むくみのような水の代謝異常は急性の炎症によって起こる場合と、心臓(ポンプ)や腎臓(排出
)の動きが悪くなって起こる場合があります。後者の場合は、全身の水の代謝が悪くなって
いるので、利尿剤などの西洋薬が適しています。利尿剤は全身の余分な水を出してくれます
。
しかしながら、水の代謝異常の多くは全身ではなく局所に現れます。足のむくみなどはその
代表です。
局所に現れた水分の代謝異常に対して利尿剤を用いると、全身に作用するために、他の部位
で水不足が発生したり、電解質(Na,K,Clなど)のバランスが崩れたりします。さらに、水が
溜まってしまった原因の解決にも繋がらないです。
理想は、水分過多の部分の水だけ動かすことです。そして、漢方薬は特定の部位の浮腫を解
決できて、五苓散の場合はそれが頭だということです。
なぜそのようなことが可能かというと、私たちの体は諸説ありますが60兆個程度の細胞で
できているとされています。その一つ一つには「アクアポリン」と呼ばれる水の出入り口が
存在します。臓器や器官でどのアクアポリンが存在するかが微妙に異なっていて0〜12ま
で、13種類が存在します。脳細胞にはアクアポリン4が存在しています。これがなんらかの
原因で開きっぱなしになって、脳細胞の中に水がどんどん入ってくるから脳浮腫や頭痛にな
ります。
五苓散は、この開きっぱなしになっているアクアポリン4を閉じて、余分な水の流入を抑え
ることが証明されています。
脳のむくみだけを改善させて、他の部位には一切影響しないというのが特徴です。
五苓散のこういった効果は、その構成成分である蒼朮(そうじゅつ)、猪苓(ちょれい)に含ま
れるマンガンが重要な役割を果たしているとも言われています。
頭痛、二日酔いに効く漢方として、五苓散を覚えておくことをおすすめします。
暑く、体調を崩しやすい日が続いておりますので、みなさま、お気をつけてお過ごしください。
文責:高橋理程
精神科・心療内科の受診費用
2024.08.30
「初診にいくらかかりますか?」というお問い合わせが多いので掲載させていただきます。
実は2024年6月の診療報酬改定で、精神科受診時にかかる負担金額は少し下がりました。
診療報酬改定は2年に1度実施されるので、下記の記事は2026年5月までのものとなります。
初診料:初めてクリニックにかかるとき(もしくは数か月ぶりの受診)
初めて受診される方には30分程度予約時間を確保していただいています。
初診で算定されるものは以下のものがあります。
- 初診料 291点
- 通院精神療法(30分以上)(1以外) 390点
- 心理検査(CES-D、AQ)80点
- 処方箋料 60点
- 夜間・早朝加算(平日18時以降、土曜日12時以降、日曜祝日のみ) 50点
※医療情報取得加算等は一部省略しています。
上記の合計点数が 871点になるので、夜間や土日に受診した場合おおよそ2610円程度になります。
平日日中に受診した場合は150円程度安くなります。
血液検査
うつ症状や不安・動悸・不眠などの症状の裏側に内科的な疾患が隠れていることがあり、別途血液検査を実施することがあります。
鑑別している疾患としては甲状腺機能亢進症による動悸や甲状腺機能低下症による抑うつ状態、鉄欠乏性貧血や潜在性鉄欠乏による不安、抑うつ症状などです。
特に鉄欠乏性貧血や潜在性鉄欠乏症は若い女性に多く見られます。鉄の補充療法で気分の落ち込みが大きく改善することもあり、積極的にくわしくはこちら。
また中性脂肪やコレステロール、血糖値が常に高い状態だと、うつ病の治療に難渋することがあり、生活習慣病の早期発見・早期治療もうつ病治療のうえで大事な要素です。
血液検査は実施内容にもよりますが、費用が2000円~3000円程度かかります。
診断書
病気療養のため会社に提出する診断書や学校に合理的配慮を求める意見書、ハローワークに提出する傷病証明書兼主治医意見書は保険適応外となり5500円(税込)の実費がかかります。
再診:2回目以降の受診
- 再診料 75点
- 通院精神療法5分以上30分未満 290点
- 心理検査(CES-D、AQ) 80点
- 処方箋料 60点
- 夜間・早朝加算(平日18時以降、土曜日12時以降、日曜祝日のみ) 50点
再診時の費用は上記合計が555点となるので1660円程度の自己負担となります。
傷病手当金意見書交付料
傷病手当金意見書交付料には100点の保険点数が設定されており、受診の際に記載することが可能です。
自己負担金は300円程度になります。
傷病手当金の申請期間は初診から最終受診日までとなっております。未来の日付で記載することはできませんのでご了承ください。また、期間中に長く受診できていない期間があると記載することができませんので、継続的な受診をお願いいたします。
暑い夏はオンライン診療で
当院はオンライン診療も行っております。7月8月の日中は40度以上にあがる昨今、うつ状態や発達特性があることによりセルフモニタリング能力が落ちている方の外出は非常に危険です。
オンラインでの初診・再診も受け付けておりますので、暑さで通院が困難な方や遠方からの受診の際にはぜひご利用ください。
- 初診料(情報通信機器)253点
- 再診料(情報通信機器)75点
- 処方箋料 60点
- システム利用料(自費) 2530円
オンラインでの自己負担金は再診の場合2980円程度です。通常の診療より1500円程度高くなりますが、交通費とのバランスを考えると、悪くない選択肢ではないでしょうか。
当院はオンラインで診療を開始しても、途中から通院での診療に切り替えることが可能です。オンラインでのみ診療している東京のクリニックで受診するよりも、何かあったときにすぐ直接相談できる地元のクリニックの方が安心かと思われます。
BFAと松浦流BFAの違い
2024.07.10
戦場鍼(BFA)について | 松浦鍼灸院 | 長野県飯田市の老舗鍼灸院 (acu-japan.com)
75%~80%の人に劇的な効果もたらす米空軍の開発した耳にある5つのポイントへ刺激を加える耳介療法です。
BFA(Battle Field Acupuncture)、戦場鍼とは耳鍼療法のひとつです。
退役空軍軍医大佐のリチャード・C・ニムゾフ氏が軍人の痛み・こわばり・ストレスケアなどに対する治療を目的として2001年に開発しました。アメリカで深刻な社会問題となっている依存性の高いオピオイド鎮痛薬の使用の減少に貢献しています。耳のツボに特殊な鍼を刺鍼する、米軍で正式に採用されている耳鍼療法です。この施術法は、フランスのSedatelec社が製造するASP-Needleという特殊な鍼を使用します。
松浦流BFAとはBFAの治療知識、技術を日本に於けるBFAの第一人者、長野県飯田市にある老舗鍼灸院、松浦鍼灸院の松浦哲也先生が当院院長ともに患者様のために臨床上効果が高いと判断した独自の耳つぼへ微弱電流という身体に感じない程度の弱い電流を流す特別な耳鍼療法です。気分がすぐれない、寝つきが悪い、イライラする、物忘れが多い、手足が冷える、その他自律神経からくる様々な症状の改善に特におすすめの施術です。松浦流BFAはASP-Needleという特殊な鍼を使用せず、他の耳鍼専用に開発された鍼を使用します。ASP-Needleよりも侵害性が少なく、比較的多くの方に受け入れやすい鍼ながらもしっかり効果を生む専用の鍼です。またASP-Needleと違い、刺しっぱなしにせず施術後にすべて抜きますので、後日抜きにきていただく必要もありません。
テスラクリニックでは松浦哲也先生を顧問に迎え、指導を受け、松浦流BFAを提供しています。
BFA(戦場鍼)って?
2024.07.10
体の痛みなどに対してポイントを刺激する治療法は紀元前から行われていました。初期は坐骨神経痛に対し、鍛冶屋の人が耳のポイントに熱したアイロンで焼き、治療をしていました。時代の変化ともに、憚れたりしながらも研究は進み、1950年ごろからフランスのポール・ノジェ医師を中心に耳介、耳鍼療法として確立され、今日の鍼灸治療に生かされています。体の痛みに主に用いられていますが、耳には迷走神経(内臓などをつかさどる神経)支配もあり、自律神経の調整も目的となります。鎮痛作用だけでなく、精神活動にも大きく関わります。
BFA(Battle Field Acupuncture)、戦場鍼とは耳鍼療法のひとつです。耳のツボに特殊な鍼を刺鍼する、米軍で正式に採用されている耳鍼療法です。この施術法は、フランスのSedatelec社が製造するASP-Needleという特殊な鍼を使用します。
75%~80%の人に劇的な効果もたらす米空軍の開発した耳にある5つのポイントへ刺激を加える耳介療法です。
退役空軍軍医大佐のリチャード・C・ニムゾフ氏が軍人の痛み・こわばり・ストレスケアなどに対する治療を目的として2001年に開発しました。
アメリカで深刻な社会問題となっている依存性の高い「オピオイド鎮痛薬」の代替医療として国がBFAを導入しています。短時間で、施術の難易度が低く、高い治療効果を得られる耳鍼療法であるため、テレビで取り上げられるほど、注目されています。
当院はBFA研究会を前身とした日本ASPセラピー普及協会に加入しております。
TMS治療とは
2024.06.15
経頭蓋磁気刺激法(けいとうがいじきしげきほう、英: Transcranial magnetic stimulation、TMS)は、主に8の字型の電磁石を使用して急激な磁場の変化を生み出し、ファラデーの電磁誘導の法則によって脳内に弱い電流を誘導することで、脳のニューロンを非侵襲的に興奮させる治療法です。この方法は、うつ病や頭痛、脳梗塞、パーキンソン症候群、ジストニア、耳鳴りなど、多くの神経症状や精神医学的な症状に対して有効であるとされています。
TMSにはいくつかの異なる形式がありますが、特に反復経頭蓋磁気刺激方(rTMS)は、脳に長期的な変化を与えることができるとされています。
安全性に関しては、TMSは一般的に安全な治療法とされていますが、頭痛やごくまれに、けいれんなどの副作用が報告されていることもあります。治療を受ける際には、医師としっかりと相談し、適切な情報を得ることが重要です。
TMS治療はどうして効果が出てくるのか?
近年の研究では、脳の試験可塑性を誘導することでシナプスの活動状態を改善させるとこがわかりました。脳の神経可塑性(brain neuroplasticity)とは、脳が経験に応じて変化する能力を指します。脳は神経細胞のネットワークで構成されており、そのネットワークは学習や記憶の形成に応じて、つながり方や機能が変化します。このような神経可塑性は、脳の発達や修復に重要な役割を果たします。
うつ病を発症している方や、発達障害の方は神経可塑性が弱いため、TMS治療で磁気を当てることで脳の神経細胞の電流が流れやすくなるようにし、神経可塑性を修正します。脳のバランスの崩れを整えることができ、神経の結びつきの柔軟さが回復してくると考えられています。
左脳にTMSを当てた時に期待される効果
反芻思考(ぐるぐる思考)の改善
固定観念、こだわりの改善
不安、不眠、過眠の改善
感覚の過敏の改善
気持ちの切り替えやすさ(まあいいかという感覚を起こりやすくする)
右脳のTMSを当てた時に期待される効果
コミュニケーション能力の改善
緊張の緩和
衝動性の改善
気分の浮き沈みの緩和
メタ認知能力(自己の認識を更に理解する)の改善
集中力、注意力の改善
後回し癖の改善
ディスレクシア(発達性読み書き障害)、ディスグラフィア(書字障害)の改善
TMS治療のメリット
このような方におすすめです
TMS治療は基本的に保険適応外の治療のため、精神疾患をもっているからといって全員におすすめというものではありません。しかし、治療効果の高さや副作用の少なさから、以下のような方におすすめです。
・副作用などが理由でお薬を減らしたい方、なるべく使用したくない方
・治療期間を短期間にとどめたい方
・お薬での治療の効果が難渋しており、他の治療方法を試してみたい方
・なるべく早く治療して、治療期間を短くし、仕事への復帰を早くしたい方
TMS治療中は座っているだけ
治療中、患者様は専用チェアーに座っているだけです。治療の際には頭部にコイルを固定しますが、位置がずれないように少し押し込むように当てます。
刺激強度を探しているときには、刺激に伴って痛みが出てくることは非常に少ないです。刺激を行っているときは、刺激音(ペンでコツコツと叩くような感覚)が生じます。
治療中に眠ると効果が弱まってしまうので、刺激中は眠らないようにしてください。
- 施術の準備:専用チェアーに座り、刺激部位と強度を同定します。
- 刺激部位の決定(初回のみ):効果を最大化にするため、最適な刺激部位を同定します。
- 刺激強度の決定(初回のみ):刺激部位が同定できたら、適切な刺激強度を測定します。
- 治療開始:治療中、患者様は専用チェアーに座っているだけです。
TMS治療のデメリット
週に1回から3回程度治療を受けなくてはいけない。治療時間は1回16分程度ですが、
薬物療法の月1回や2回の受診とは違い、治療頻度が高い。
物理的に受けられない方もいる(禁忌)
刺激部位に近接する金属(人工内耳、磁性体クリップ、深部脳刺激・迷走神経刺激などの刺激装置)、心臓ペースメーカーを有する患者。
刺激部位に近接しない金属(体内埋設型の投与ポンプなど)、頭蓋内のチタン製品、あるいは磁力装着する義歯・インプラントを有する患者。てんかん・けいれん発作の既往、けいれん発作のリスクのある頭蓋内病変、けいれん発作の闘値を低下させる薬物(メチルフェニデート、ケタミンなど)の服用、アルコール・覚せい剤の乱用・離脱時、妊娠中、重篤な身体疾患を合併する場合など。
治療費が高い
日本では2019年に重度のうつ病に対するTMS治療が保険適応診療として認定されましたが、それ以外は保険適応外になります。
最後に
TMS治療は、うつ病やその他の神経系の障害に対する有望な治療法として注目されています。この治療法は、薬物療法に比べて副作用が少なく、多くの患者さんにとって効果的な選択肢となり得ます。治療期間や頻度、そして個々の症状に合わせたカスタマイズが可能であるため、患者さん一人ひとりのニーズに応じた治療が行える点も大きな利点です。今後もTMS治療の研究と臨床試験が進むにつれて、より多くの人々がこの治療から恩恵を受けられることを期待しています。
最高のコンディションを引き出すには
2024.05.31
学習や仕事、日常の過ごし方において、最高のパフォーマンスを発揮するには、自分の能力やスキルを向上させる必要があります。
しかし、同じくらい大切な要素は、最適な状態で行動することです。コンディションが整っていないと、最高の実力を発揮することが難しくなります。最高のパフォーマンスを実現することで、自分の目標にスムーズに近づくことができるでしょう。
そして、充実感ある時間を過ごし、満足のいく成果を得ることもできます。
しっかりとコンディションを整えてから仕事や学習に取り組むことで、これまでの努力を最大限に活かし、より充実した時間を過ごしながら目標に近づけるはずです。心身共に最高のコンディションを維持するためのいくつかの方法についてご紹介します。
睡眠
健康的な状態を維持するためには、十分な睡眠が不可欠です。十分な睡眠を確保しないと、体調が悪化し、思考力も低下します。
成人の場合、個人差はあるものの最低でも6時間以上の睡眠を確保することが良いとされています。また一般的には、起床して日光や明るい光を浴びてから15〜17時間後に眠くなります。 そのため、 起きてから15〜17時間後に寝るのがベストで15〜24時間後が理想の寝る時間帯となります。
この睡眠時間を確保することで、脳の機能を最大限に活用でき、集中力やストレスの軽減にも効果があります。
睡眠でまず大事になるのは睡眠時間をきちんと確保することです。日中眠くなることが多かったり、仕事や学校のない休日に朝遅くまで寝てしまっている場合は、日ごろ睡眠時間が足りないというサインになります。
知らず知らずのうちに睡眠負債がたまっていることもありますので、睡眠時間を確保することは私たちの健康にとってとても重要なことです。睡眠不足だと風邪をひきやすくなったり、高血圧や糖尿病の要因にもなりうることが報告されています。
また、記憶力や感情、パフォーマンスにも大きな影響をもたらすことも報告されており、睡眠不足による経済損失は膨大なものになるといわれています。必要な睡眠時間を確保することはとても大事なことなのです。
実は睡眠不足以外にも無視できない問題があります。それは体内リズムが乱れてしまうことです。海外旅行と言わないまでも、夜更かしや朝寝坊などによって私たちの体内リズムは簡単に乱れてしまいます。体内リズムが乱れてしまうと寝たいときに眠れなくなったり、睡眠時間が十分なはずなのに目覚めが悪くなってしまったりと、良い睡眠が得られにくくなります。
体内リズムの乱れもまた肥満といった生活習慣病や、日中の疲労感、パフォーマンスにも関わっているということが報告されています。毎朝同じ時間に太陽の光を浴びること、朝食をしっかり食べること、夜に強い光を浴びないといったことが体内リズムを整えるうえで重要になります。
睡眠には「脳や身体の休養」「疲労回復」「免疫機能の増加」「記憶の固定」「感情整理」など多くの重要な役割があります。うまく睡眠不足を解消しながら、体内リズムをコントロールすることが大切です。
関連記事:【入浴と睡眠】
食事
脳を働かせるためにも、体を動かすためにも、私たちはエネルギーを必要とします。日々の生活において、規則正しい食事のタイミングは、血糖値の安定とエネルギーレベルの維持に役立ちます。朝食をしっかり摂り1日3食のバランスの取れた食事を心掛けましょう。(諸説あり、意図的なファスティングが好ましい場合もあります。)
タンパク質、炭水化物、健康的な脂肪、ビタミン、ミネラルをバランスよくしっかりと摂りましょう。
加工食品や高砂糖食品は健康に悪影響を及ぼす可能性があります。できるだけ自然な食品を選びましょう。
アルコールやカフェインの過剰摂取、漫然とした摂取を避けるようにしましょう。アルコールやカフェインには体に負担をかける可能性がありますので、適度な摂取を心掛けましょう。
これらのポイントを意識することで、最高のコンディションを保つことができます。
運動
運動は体力を向上させ、ストレスを軽減し、心身の健康をサポートします。ウォーキング、ジョギング、ヨガ、筋力トレーニングなど、自分に合った好きな運動を取り入れていきましょう。
ストレス管理
ストレスは体に悪影響を及ぼすことがあります。リラックス法や瞑想、深呼吸などを試して、ストレスを軽減しましょう。
水分
水分は体の機能をサポートし、代謝を促進します。
1日に約2リットルの水を目安に水分を摂ることで、体内の機能が最適に働きます。
社交的なつながりを持つ
友人や家族との交流は、心の健康に良い影響を与えます。人々とつながり、互いに支え合うことで精神の安定にも繋がることでしょう。
まとめ
不安や心配事を持ち続けることは、良いコンディションとは言えません。メンタルを整えることで、最高のパフォーマンスを発揮することが可能となります。散歩や音楽を聴くなど、気持ちをリフレッシュさせる方法を取り入れて、ポジティブな状態を保ちましょう。
コンディションを整えるということを自分の中でルーティン化すれば、常に良いパフォーマンスを発揮し目標の達成などにつながっていくことでしょう。
食事も睡眠も毎日やることなのに、ついつい疎かになってしまいがちです。できることから取り入れて、少しずつでも学習や仕事のパフォーマンスを引き上げていきましょう。
関連記事:rTMS治療
歩いた方がうつに良い?
2024.05.24
うつ病の治療は、抗うつ薬などを投薬する薬物療法とカウンセリングなどによる精神療法を併用して行われますが、うつ病になじまないように思われる運動もまた、症状の改善に効果があるといわれています。
関連記事:週にどれくらい運動すればよいのか
うつ病の原因はまだ完全に解明されていませんが、最近の研究では、ストレスに晒されると脳の前頭前野・海馬などが萎縮し、BDNF(脳由来神経栄養因子)が低下し、これがうつ病を誘発するのではないかと考えられています。
運動をすると、前頭前野や海馬の体積が増え、血流が増加し、BDNFが増加します。BDNFは、神経の栄養のようなもので、BDNFが多くなると脳の神経が活性化され、心を安定化させる働きをもつセロトニンやノルアドレナリンなどの分泌が増加し、うつ病の改善を促進するといわれています。
ウォーキングをすると太陽を浴びることになります。この太陽を浴びるという行為が重要です。太陽光により脳内でセロトニンの分泌が開始。このセロトニンも神経伝達物質で「幸せホルモン」と呼ばれるものです。ウォーキングのように一定のリズムを刻む運動の場合、セロトニンをさらに活性化させます。結果としてウォーキングによって幸せを感じるのです。
このセロトニンはうつとも大きくかかわっています。セロトニンの分泌量が少ないとうつになりやすいという傾向があります。外で太陽の光を浴びながらウォーキングを行えばセロトニンが分泌されうつを遠ざけることも可能なります。実際にウォーキングを習慣化している人はうつの発症率が3割ほど低いという研究結果も出ています。また、運動をすると気分が爽快になり、心地よい疲労感に襲われることから質の良い深い睡眠を得られるのです。
どんな運動?
無酸素運動よりも長くゆるめの有酸素運動の方が効果的です。有酸素運動とは、酸素を多く取り入れ、その取り入れた酸素で体内の脂肪を燃焼させるものための運動です。
ウォーキング、ゆっくりした水泳などは有酸素運動です。無酸素運動とは、基礎代謝を増やす運動で、筋力トレーニング、短距離走などをさします。ただし、有酸素運動でもあまりに長時間やると負担になるので、ほどほどにしておくようにしましょう。
毎日決まったタイミングで…という方もいう方もいるでしょうが、メンタルに効果のあるウォーキングなら「思い立ったタイミングで」というのがおすすめです。好きな時に他の予定にしばられないでウォーキングをするということ自体がストレスを軽減させます。タイミングを決められないと続かないという場合はランチに行くとき、出勤の時などと決めても良いでしょう。
ウォーキングを行うのに適切な時間は30分くらいといわれています。男性なら一日9200歩、女性の場合は8300歩が日本で勧められている目標歩数です。これは1時間半ほど歩くことでクリア可能な数値なのですが、人間は日常生活でも歩きます。このことを勘案して健康的なウォーキングは30分くらい、楽しいと感じる時間で切り上げるのがおすすめです。翌日まで疲れが残るような運動はお勧めできません。
歩くという行為は単調な運動の繰り返しなので思考がクリアになりやすいといわれています。歩くことで時間的にも考え的にも余裕を持ち、が精神面での安定につながっていくことでしょう。ウォーキングにメンタルを変える即効性はありませんが、長く続けることで安定した状態を保ちやすくなります。
運動がうつ病に効果があるといっても、運動だけでうつ病が治るというものではありません。医師の指示による薬物療法、精神療法、あるいはストレスの元となっている環境調整などを行っていきましょう。
うつ病は、意欲が減衰していきます。重度のうつ病だとベッドからでることも困難な時があります。そのような状態では運動することは不可能です。
また、いくら運動が効果的だからと言っても、強度が高い運動を行うとBDNFが増加する一方で、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌も促進されてしまうことがありますので症状や体調に合わせたほどほどの運動が、運動療法の基本です。
うつ病で運動療法を行う時の注意点
・特に急性期には無理をせずとにかく休むことを優先に
・気分が悪い時は無理をしない
・義務感を持ちすぎない
・まずは軽いウォーキングから
・自宅の周りの危なくない環境で
・心臓、高血圧などがあれば内科医にも相談しましょう
当院で行っているrTMS治療について
このようにうつ病にはウォーキングがとても効果的ですが当院では、内服をしないうつ病治療rTMS(反復的経頭蓋磁器刺激法)を取り入れています。頭に直接、強力な磁気をあて、刺激を与えることで脳の機能低下を改善することを目的とした治療法です。
rTMS治療は前頭葉の一部分に磁気をあてて刺激を与えることで、前頭葉の活動を活性化させる一方、前頭葉の機能低下を補うためにオーバーヒートしている脳の扁桃体という部位の過活動を抑え、脳機能のバランスを取り戻しうつ病を改善させていきます。
rTMS治療の利点は体の負担は少なく、即効性があるということです。うつ病治療は本来であれば中途半端にすることなく、学校や勤務先を休んで、しっかりと治療に専念することが望ましいのですが、外来でrTMS治療を受け副作用のほとんどない運動療法を取り入れつつ日常生活を維持加療できる場合もありますので、お気軽にご相談ください。
中毒に注意 ~カフェインの摂りすぎは良くない?~
2024.05.22
日ごろコーヒーは多くの人にとって日常的な飲み物であり、コンビニや専門店などで容易に美味しいコーヒーを楽しむことができます。しかし、コーヒーを飲むことが習慣的になってしまうと、コーヒーに含まれるカフェインを摂りすぎてしまう事が起きてしまいます。
今回、カフェインの摂りすぎについてご紹介させていただきます。
関連記事:カフェイン摂取はADHD治療で注意力の向上や学習に対する改善が期待できる
カフェインとは
カフェインは、コーヒー、紅茶、緑茶、コーラなどの飲料に含まれる自然発生する刺激物です。カフェインは中枢神経系を刺激し、一時的に疲労感を減らし、覚醒度を高める効果があります。摂取すると、集中力が向上したり、気分が高揚することがありますが、過剰に摂取すると不安感や不眠などの副作用が現れることもあります。各人のカフェインに対する感受性は異なるため、適量は個人によって異なります。
フォームの始まり
カフェインが含まれるもの
カフェインはコーヒー豆やカカオ豆、茶葉などに天然に含まれています。コーヒーや茶がカフェインの主要な摂取源となっています。また、エナジードリンクや清涼飲料水、風邪薬、眠気防止薬、酔い止め薬などにもカフェインが含まれていることがあります。以下は代表的な食品中のカフェイン濃度です(100mlあたり)
・エナジードリンク又は眠気覚まし用飲料: 32~300 mg
・コーヒー(浸出液): 60 mg
・インスタントコーヒー(粉末): 80 mg
・玉露(浸出液): 160 mg
・せん茶(浸出液): 20 mg
・ほうじ茶(浸出液): 20 mg
・玄米茶(浸出液): 10 mg
・ウーロン茶(浸出液): 20 mg
・紅茶(浸出液): 30 mg
・抹茶(粉末): 48 mg
カフェインはどれくらいの量が適量なの?
カフェインは過剰摂取すると上で述べたように思わぬ健康被害を生む可能性があります。カフェインに対する耐性などは個人差がありますが、一般的には一日の摂取量は400㎎未満に止めることが推奨されています。また、ヨーロッパなどの基準では一回の摂取で200㎎以上の摂取は控えるべきとの提言もあり、一度に大量のカフェインを摂取せずに、こまめに摂ることが好ましいと考えられています。
カフェイン400㎎はコーヒー4~5杯、紅茶では7~8杯ほどの量に相当します。しかし、カフェインは食品や薬に含まれていることもありますので、一日に摂取する総量を考えて飲み物を調節しましょう。
カフェインを摂りすぎるとどうなる?<中毒症状>
カフェインの過剰摂取は、いくつかの不快な症状や健康問題を引き起こす可能性があります。摂取量が多いと感じる場合、以下のような症状が現れることがあります。
不安感:カフェインは中枢神経系を刺激するため、過剰に摂取すると不安や神経質になることがあります。
心拍数の増加:心拍数が速くなったり、不整脈が発生することがあります。
睡眠障害:カフェインで交感神経が刺激されると、睡眠時に必要な疲労解消やリラックスを司る副交感神経が働きにくくなります。長期間カフェインを過剰摂取すると、不眠症などの睡眠障害になることがあります。
消化器系の問題:胃痛、胃酸過多、下痢など消化器系に影響を及ぼすことがあります。
頭痛:カフェインは血管を一時的に収縮させる効果があります。カフェインによって頭痛が生じる理由は、カフェインに「血管を収縮させて血流を悪くする作用」があるためと言われています。また、カフェインが体内から抜けると、収縮した血管は少しずつ拡張し元に戻っていきます。締め付けから解放された血管は本来の量に戻るため増加し、これが頭痛の原因となります。
疲労感:カフェインには疲労解消の効果があるといわれていますが、人によっては疲労感が残ることがあるため注意が必要です。「疲労がなくなった」ように感じるのは、カフェインに含まれるアデノシンという成分には覚醒作用によるものだと考えられています。
貧血:カフェインは、鉄の吸収を阻害したり、タンニンと結びついたりすることで、鉄欠乏性貧血を引き起こすことがあります。
その他:震え、落ち着きがなくなる、焦燥感を感じる
適切なカフェインの摂取量は個人によって異なりますが、一般的に成人の安全な摂取量の上限は1日に約400ミリグラムとされています。これはおおよそコーヒー4杯分に相当します。カフェインに対する感受性が高い人、妊娠している女性、特定の医療状態を持つ人は、より少ない量で影響を受ける可能性があります。過剰摂取を避けるために、カフェインを含む製品のラベルを確認し、自分の体がどのように反応するかを観察することが重要です。
フォームの始まり
カフェインの副作用を抑えるには
水分を摂る:カフェインの過剰摂取により起こる症状は、水分を補給することで緩和できることがあります。
カリウム・マグネシウムの摂取:カリウム・マグネシウムの摂取することもカフェインの副作用を抑えることに役立ちます。これはカフェインの過剰摂取でカリウムやマグネシウムが消費されると、震えやイライラなどの症状が起こることがあるからです。コーヒーを飲み過ぎたときには、バナナや濃い葉物野菜などを食べて、カリウムやマグネシウムを補給しましょう。
症状が治まらない場合は病院へ:カフェインの過剰摂取で呼吸困難、胸の痛み、吐き気、心拍異常、筋肉のけいれんなどの症状が治まらない場合は医療機関を受診しましょう。
病院では、活性炭や利尿剤などを用いてカフェインの体外排出を促す治療などが行われます。このような対処法は自己判断で行うと危険なので、必ず医師の指示のもとで行うようにしましょう。
カフェイン断ち
カフェインを断つ(カフェイン断ち)は、カフェイン摂取を減らすか、完全に止めることを意味します。これにはいくつかの理由がありますが、一般的には健康上の懸念、不眠症、不安感の増加、または依存からの解放を目指して行われます。カフェイン断ちをする際には、以下の点に注意すると良いでしょう。
まずは自分の摂取量を把握
カフェイン断ちをする前に、日々の摂取量を把握することが大切です。チェーンスモーカーのように、飲み終わったらまた淹れて飲んで……を繰り返しており、1日何杯コーヒーを飲んでいるのかわからないという方もいるかもしれません。まずは1日にコーヒーを何杯飲んでいるかカウントして、自分の摂取量を把握しましょう。
段階的に減量する
これまでカフェインを多く摂取していた人が、いきなりカフェインを完全に断つと、離脱症状が強く出る恐れがあります。通常は24〜48時間以内に離脱症状が現れることがあります。これには頭痛、疲労感、イライラ、集中力の低下、うつ病感などが含まれます。これらの症状は一般的に数日から一週間程度続きます。この様な症状が強く出ないように、1日に5杯コーヒーを飲んでいた方は、まずは3杯に。翌週は2杯、その翌週は1杯だけ……と徐々に減らしていくと、離脱症状も穏やかになり、少ない負担でカフェイン断ちができるようになります。
代替品を利用する
コーヒーの代わりにデカフェやハーブティーを
「コーヒーが飲めなくて辛い」という方は、デカフェ(カフェインが入っていないコーヒー)やハーブティーを代わりに飲んでみましょう。最近はデカフェでもコーヒーの香りや味わいが楽しめる製品がたくさんあるので、ぜひいろいろな製品を試してご自身のお気に入りを探してみてください。食後の口直しや作業の区切り・一息つきたいときなどにコーヒーを飲んでいた方の場合は特に、デカフェやハーブティーでも十分その役割を果たしてくれると感じるはずです。
睡眠とリラックス
カフェイン断ち中は、質の良い睡眠を取ることが特に重要です。また、ストレス解消法(瞑想、ヨガ、軽い運動など)を取り入れると、撤退症状の軽減に役立つ場合があります。
カフェイン断ちを成功させるためには、自己観察と調整が重要です。体がどのように反応するかを注意深く観察し、必要に応じてプロセスを調整することが、断ちをスムーズに進める鍵となります。
まとめ
ついつい摂取しすぎてしまうカフェイン。嗜好品として1日にコーヒー1杯程度を楽しむのであれば問題はありませんが、摂取のしすぎは睡眠に悪影響を及ぼしたり、イライラや胃腸の不調をもたらしたりする恐れも。カフェインの摂りすぎやカフェインによる不調に悩まされている方は、ぜひ今回ご紹介したカフェイン断ちをやってみてくださいね。また、清涼飲料水として扱われるエナジードリンクにもコーヒーと同程度のカフェインが含まれている場合があります。コーヒーと同様にカフェイン依存に陥りやすい飲料とされているので、エナジードリンクの摂りすぎにも注意しましょう。
五月病
2024.05.01
4月に新年度が始まって約1月が過ぎ、ゴールデンウィークの連休が終わると、梅雨入りも近くなったこの時期、耳にすることが多くなる言葉が「五月病」です。
五月病(ごがつびょう)とは、新年度を迎え、新社会人をはじめ転職や異動など新しい環境で仕事を始める人も多いことでしょう。心機一転、「よし、頑張るぞ!」とエネルギーが湧いてくるものです。
しかし、ゴールデンウィークを過ぎて一段落する頃から、にわかに「やる気が出ない」「ふさぎこむ」という症状が現れる人がいます。俗にいう「五月病」です。
五月病は、環境の変化に伴う心身の負担、ストレスが主な原因です。
「五月病」の多くは一過性の症状であり、適度な休息などで改善されることがほとんどです。ただし、会社や仕事が苦痛に感じるなど、仕事に支障が出るような重症の場合は早めに医療機関を受診しましょう。
「五月病」は正式な医学用語ではありません。医療機関では「適応障害」「軽度のうつ」といった診断名がつけられることもあります。
五月病は「適応障害」の一つと考えられていますが、五月病が急性に起こっているものとすれば、慢性的に続くものといえます。症状としては不眠、頭痛、めまい、吐き気、食欲不振などがあげられますが、梅雨の時期の不安定な気候も影響し、なんとなく体がだるく不調を感じるなど人によってさまざまな症状が現れます。さらに不調が続くとうつ状態となり、「うつ病」を発症してしまう可能性もあります。
適応障害とは:
適応障害(てきおうしょうがい)は、日常生活の中で何かがストレス原因となって心身のバランスが崩れ、社会生活に支障が生じる状態を指します。原因が明確でそれに対して過剰な反応が起こった状態と言えます。
適応障害の症状は、ゆううつな気分、不安感、頭痛、不眠などがあります。これらは一般的には正常な人にも現れる症状ですが、適応障害の場合はそれを超えた過敏な状態となります。
日常生活の中で起こった出来事や環境に対してうまく対処できず、社会生活に支障をきたす状態です。治療にはまず原因となっているストレスを軽減し、心理的に回復させることが必要で
す。また、場合によっては薬物療法が必要なこともあります。
適応障害とうつ病の違い:
適応障害とうつ病は、気分が低下するという点では似ていますが、適応障害の原因は環境であるのに対し、うつ病は突然起こったり体質的に生じたりするものです。具体的には、適応障害はストレスに関連したものであり、ストレスが解消されれば症状も改善されることが多いのです。一方、うつ病はストレスとは無関係に発症することもあり、環境を整備しても長期にわたって持続することが多い疾患となります。また、適応障害では楽しいことに対して反応がありますが、うつ病では何に対しても楽しめず、常に気分が落ち込んでしまいます。薬物療法も、適応障害の場合は効きにくい傾向にありまが、うつ病の場合は効果が出やすい傾向にあります。
五月病の症状としては、以下のようなものが挙げられます。
□ 憂鬱な気分
□ やる気の低下
□ 疲れやすさ
□ 睡眠障害(不眠や過眠など)
□ 食欲不振
□ 集中力の低下
□ 対人関係の悩み
五月病の対処法:
1.生活リズムを整える:規則正しい生活を心掛け、適切な睡眠を取ることが大切です。
2.栄養バランスの良い食事をとる:バランスの取れた食事を心掛け、ビタミンやミネラルを十分に摂取しましょう。
3.適度な運動をする:軽い運動はストレス解消にも役立ち、体の調子を整えることができます。
4.趣味やリラクゼーションを楽しむ:自分の好きなことをする時間を作ることで、心のリフレッシュができます。
5.社会的サポートを求める:友人や家族、職場の同僚など信頼できる人とのコミュニケーションを大切にし、気持ちを共有することが助けになります。
6.目標を小さく設定する:大きな目標よりも、小さな達成可能な目標を設定し、一つずつクリアしていくことで自信をつけましょう。
五月病は一時的なものであることが多いですが、これらの方法を試してみて、自分に合った方法を見つけることが大切です。また、症状が長引く場合や日常生活に支障をきたす場合は、専門家の助けを求めることをお勧めします。
インターネット依存
2024.04.28
世界保健機関(WHO)は2019年にゲームのやり過ぎで日常生活が困難になる「ゲーム障害」を国際疾病として正式に認定しました。スマートフォンなどの普及でゲーム依存の問題が深刻化し、健康を害する懸念は強まっておりギャンブル依存症などと同じ精神疾患と位置付け、治療研究や世界の患者数の把握を後押しすることになります。
インターネット利用が低年齢化し、GIGAスクール構想によって公立の小中学生に1人1台の情報端末が配布されるなど、子どもたちがインターネットにつながる機会は一段と増しています。昨今ゲーム市場が活況で、子どもを魅了するオンラインゲームなども多くなっています。
情報端末の使用ルールをはじめ、ネットやゲームへの依存を懸念する学校関係者や保護者も少なくないのではないでしょうか。子どもが情報端末と適切に付き合っていくには、どうしたらよいのでしょう。
どんな病気?ネット依存症とは?
勉強や仕事、家事などやらなければならないことよりも優先してインターネットをしてしまい、その時間や場所などを自分ではコントロールできなくなってしまうことです。インターネットによって、生活が回らなくなってしまっていたり、生活に大きな影響が生じている状態のことをさします。
以下の10個の質問に最近のあなたの状態を想像しながら、あてはまる個数を数えてみましょう。
①気が付くと思っていたよりも長くネットをやっていることがある
②ネット中にそろそろやめようと思ってもやめられなかったことある
③誰かと過ごしたりするよりもネットを選ぶことがある
④やるべきことがあっても先にネットをしてしまうことがある
⑤ネットのために仕事や勉強の能率や成果が低下したことがある
⑥ネットで新しい仲間を積極的に作ろうとしている
⑦ネットをしていると日々の心配やストレスを忘れられることがある
⑧ネットをしている時に邪魔をされると、イライラしたり、怒ったりすることがある
⑨もしもネットがなかったら、生活は退屈だろうし、やっていけないと思う
⑩普段の生活でもネットのことばかり考えていることがある
5点以上当てはまるがあった場合はネット依存症の疑いありという可能性があります。
こんな症状や兆候はありませんか?
ご本人の様子
「ネットやゲームに熱中して眠れなくなった(昼夜逆転してしまった)」
「ネットやゲームのやり過ぎが原因かもしれないってわかっているけど、学校や会社の成績が、以前より落ちてきてしまった」
「以前は趣味や友人づきあいがあったのに、最近はネットやゲームばかりしている。最初は楽しかったのに、今は義務のようにやっているけど止められない」
ご家族から見て
「朝から毎晩遅くまでネットやゲームをしている」
「食事に呼んでもネットやゲームばかりして、部屋から出てこない」
「ネットやゲームについて注意したり、スマホを取り上げるとひどく怒る」
現代社会とインターネット通信機器の発展によりいつでもどこでも仕事ができ、調べたいことはいつでも調べられるように、誰かとつながりを持ちたいときはいつでもつながれるようになりました。
手にしたデバイス(スマホやパソコン等)から、スポーツや音楽、娯楽情報など、関心のある情報を探し出せる様になってきています。パソコンや通信機器によって、私たちの生活環境は以前と変化してきました。趣味や仕事をするうえでも、私たちの生活はインターネットの恩恵をずいぶん受けています。半面、こうした通信環境の発展にともない、ネットやゲームが「手放せない」状況も生まれています。
ネット・スマホ向けのゲームは、無料で手軽に遊ぶことができる反面、飽きにくく何度もログインして利用してしまいやすくなっています。無料でのゲームプレイは制限があることが多く、制限を超えてよりゲームを楽しもうとすると課金が必要となり、のめりこむことでお金を浪費しやすいのです。また、チャット機能があることでゲーム内での交流がしやすく、現実の人間関係から離れたコミュニケーションの場が用意されているのです。かつてのゲームと比べてみると、オンラインゲームは最初は無料で敷居が低い代わりに、ゲームが飽きにくい工夫がなされており依存してしまう危険性もあります。
体への影響
食生活の乱れや運動不足から体力の低下が起きやすく、長時間うつむいていることで、ストレートネックになってしまうなど、身体的な問題が生じます。また、画面を長時間見続けることで近眼や乱視(場合によっては老眼)となってしまうことがあります。
こころの影響
ネットにのめりこみすぎてしまうことで、うつ症状が出てしまうことや、イライラしやすくなることが研究で明らかにされています。このため気力がなくなり、いつもならできることが中々できなくなるだけでなく、人に対して怒りっぽくなりやすくなるなど、その人らしさを変えてしまいます。
学業や仕事への影響
夜遅くまでパソコンやスマホを使用してしまうと、昼夜が逆転し翌日の遅刻や授業中の居眠りが生じ睡眠障害を引き起こします。これが続くと、授業についていくのが難しくなり、成績が低下してしまうことや、場合によっては学校を遅刻してしまうこともあります。もっと事態が深刻になると、欠席の増加や不登校に繋がる場合もあります。また、社会人の場合では仕事中の私的なネットの閲覧から、上司に注意を受けてしまい、信頼関係にヒビが入ってしまうこともあります。
家族や周囲への影響
本人にネットから離れるように強制したり、スマホを取り上げられたことで、家族に暴言や暴力を振るってしまうこともあります。家族関係にヒビが入ってしまい、元々の関係性が崩れてしまう恐れがあります。
ネットゲームに依存している人の脳内では、ネットゲームをすると大量のドーパミンが放出されます。これを受容体が受け取ると幸せな気分を感じる脳の回路が活性化し、ゲームが習慣になっていきます。しかしゲームを長時間行って脳の中にドーパミンが大量にある状態が続くと、受容体の数が減ったり、感受性が低下したりします。
ゲームを長時間すればするほど、受容体は減少。さらにドーパミンを出し過ぎることにより、生産が追いつかず分泌も減ってきます。最終的にはドーパミンを分泌する能力も受け取る能力も低下してしまい、やる気や幸福感を感じられない状態になってしまうのです。
長い間ネットゲームに依存していると、ドーパミン受容体の活性度が下がります。また数も減り、枯渇してしまいます。受容体の数が減ると本来のドーパミンの効果が得られなくなってきます。幸せな気分になるはずが憂うつになり、人間の心にマイナスの働きをするようになるのです。これは覚せい剤などの薬物依存症と同じメカニズムです。
自分ではコントロール出来ているつもりでもいつの間にかネットなしではやっていけなくなっているというのがネット依存症の怖いところです。いつでもやめられると思っていてネットをやっていても、いつの間にかコントロールができなくなっているということが起こるのです。
その結果様々なものを犠牲にしているということを認知して、適切な行動を獲得してもらう方法として認知行動療法が有効だとされています。
ネットをやりすぎる結果どのような事態が起きるのか、その後に起こる事態がどのようになるのかという正しい認知を得るという方法です。単純にどれくらい自分はネットしているのかの記録付けるだけでも、正しい認知が得られると言われています。
認知行動療法では、次のような実践がなされます。
〇ネット使用の良い点・悪い点を考えながら1日の生活を振り返る
〇自らがネット使用に求めていることを分析し、ネット以外でそのニーズを満たす方法を模索する
〇過剰なネット使用の原因を分析し、その原因への対処方法を身につける
〇ネット以外の楽しい活動を増やしていく
インターネット依存症の治療では、ネットを全く使用しない「断ネット」ではなく、自らの生活に合った適切なネット使用方法を具体的に考えていくことを通して、「節ネット」を目指していきます。
ネット依存は、人間関係のトラブルや勉強や仕事からのストレスなど、何かのちょっとしてきっかけで誰しもなる可能性のあるものです。もしも、あなたの周りにネットをやめられなくなっている人や、あなた自身ネット依存症の予備軍の可能性があるという方は、ネットのやりすぎにならないようにネット以外のストレス解消や趣味を見つけてみましょう。
しかし、やはり一人の力で長時間のインターネットを辞められないという方は、一度精神科への受診をおすすめします。