【入浴と睡眠】
2024.01.07
入浴と睡眠
「仕事で疲れているのに眠れない」「運動して体は疲れている筈なのに眠るまでに時間がかかる」そんな時は浴槽入浴をしてみるのも一つの解決手段になります。
入浴には、疲労回復や快眠、リラックスといったさまざまな効果がありますが、お湯の温度や入浴時間によっては身体に負担がかかってしまうので注意が必要です。入浴後に疲れを感じる方は、お湯の温度や入浴時間が適切でないことが考えられます。そこで今回は、理想の入浴時間や入浴の効果を高める方法、入浴時の注意点を紹介します。入浴時間を見直す際は、本記事の内容をぜひ参考にしてみてください。
素早く疲労回復する入浴法
スポーツの後は、血液中に乳酸などの疲労に関係する物質が増えた状態になります。疲労回復のためには、早めにそれを流し去って(フラッシング)、適切な場所で分解したりエネルギーに変えたりする必要があります。また、疲れた場所に食事で取った栄養を運ぶためにも血流アップは大切。お風呂の力を積極的に活用しましょう。
1.体が落ち着いたら早めに入浴
運動直後のまだ息があがっているような状態は、水圧などが体の負担になるのでNG。ストレッチなどで体を十分にクールダウン。それから入浴するよう心がけましょう。
体や息がある程度落ち着いたら、体が冷える前、なるべく早めに入浴を。
2.「ぬるめ&長め」が基本
血流アップのためには、長めにじっくり20分以上入ることが何より重要。
そのためには温度もぬるめの39℃程度で。運動後は体が温まっているので、半身浴でもOKです。
3.脚マッサージで疲れケア
スポーツの後に疲れを感じやすいのは脚。
疲労回復やむくみの対策として、ふくらはぎを下から上に向かってマッサージ。脚先に溜まった血をしっかり流します。
肩こりをやわらげる入浴法
辛い肩こりに悩まされている人は多いですが、お風呂できちんとケアしている人は意外と少ないのでは?コリの解消には「温めて血行を良くすること」「筋肉をやわらげほぐすこと」が大切。
この2つが一度にできるお風呂は肩こり解消に最適の場所なのです。温め&ストレッチを毎日実行することから始めましょう。
1.しっかり全身浴が基本
まずはほぐすためのベース作り。体をしっかり温め血行を良くするために、40℃のお湯に10~15分入浴します。この時、しっかり肩までお湯につかるのがポイントです。
2.肩を動かしてほぐす
次に肩をストレッチ。
①肩に力を入れてぐっと引き上げる。
②一気に力を抜く。この動作をゆっくりと10回程度繰り替えしましょう。肩を回す動きなどをプラスするとさらにGOOD。
3.首回りを伸ばそう
お湯につかった状態で、無理をせず、気持ちいいと感じるくらいで行いましょう。
冷えを解消する入浴法
冷えは、血流が悪いために生じます。その原因はストレスや不規則な生活などによる自律神経の乱れや筋肉量の不足などがありますが、まずはお風呂に入って血流を高めましょう。お風呂の浮力によるリラックス効果と体温上昇による血行促進効果は、どちらの冷えにも有効。まずは毎日入浴しましょう!
1.浮力と温熱を感じよう
リラックスには浮力、血行促進には温熱を感じることが効果的。家庭のお風呂では限界はありますが、できるだけたっぷりのお湯を使って、ゆったり気分を味わうのもオススメです。
2.全身浴は「ぬるめ&長め」で
気温の低い秋冬は40℃くらいのぬるめのお湯で10~15分、しっかり全身浴をして血行促進しましょう。意外と時間が長いので、時計でしっかりチェックして。
3.半身浴でもOK
長時間つかるのが苦手な人には半身浴がオススメ。
5分全身浴した後に、体を起こすかお湯を減らすかして半身浴を15分。
半身浴の際のお湯の位置は、みぞおちあたりを目安に。お風呂の蓋を利用すると蒸した状態(サウナ)になりより効果的です。
入浴する際の注意点
・いきなり浴槽に入らない
いきなり浴槽へ浸かると急激な血圧上昇から頭痛やめまい、吐き気などの症状を引き起こす可能性があります。身体への負担を軽減するためにも、かけ湯やシャワーで徐々にお湯に慣れてから浴槽に入りましょう
・ヒートショックに気をつける
ヒートショックとは、寒暖差による急激な温度変化で血圧に大きな変化が起きる現象のことです。家の中でも、リビングと脱衣所、浴室には温度差があるため、ヒートショックが起きる可能性があります。
特に冬の間は、寒い脱衣所から急に熱めのお湯に入ると身体に大きな負担をかけてしまいます。事前に脱衣所を暖めておくなど、浴室との温度差をやわらげる予防策を講じましょう。
・食後すぐに入浴しない
食事直後の入浴は胃腸の働きが悪くなる恐れがあります。また、食後は眠たくなるため、お風呂で寝てしまい入浴時の事故につながる可能性も考えられます。安全に入浴するためにも、食後1時間程度あけてから入浴しましょう。
・水分補給を忘れない
高めの温度や長風呂は脱水症状の恐れがあります。特に、熱めのお湯に入りたいときや長風呂をしたいときは、水分補給を忘れないようにしましょう。
・長風呂しすぎない
長風呂は脱水症状を引き起こす原因となり、肌の乾燥や身体の負担となることがあります。入浴時間を長くしたい場合は湯温をぬるめに設定し、水分補給や休憩を意識的に取り入れましょう。
状況に応じて適切な入浴時間を覚えておけば、疲労回復や睡眠の質を高める効果が期待できます。ぜひ今回ご紹介した内容を、毎日の入浴で心掛けてみてください。また、入浴後、出来る限りリラックスできる環境で過ごすことが大切です。スマホなどのブルーライトを長時間見ていると、交感神経が優位となり覚醒状態になってしまいます。就寝前の自律神経の乱れは、睡眠にも影響を及ぼし翌朝の目覚めにも悪影響を及ぼします。入浴後は部屋の温度や湿度の環境を整え、強い光や大きな音を避ける等、快適に過ごすことを心掛けましょう。
入浴後の睡眠
正しい入浴をすると、深部体温が上昇し、血行が良くなります。お風呂から出ると、深部体温はだんだん元の体温に下がっていきます。人間は深部体温が下がると眠気を感じる性質があるため、寝る前の適切な時間に入浴をして深部体温を上げることで、最初の90分間の眠りを深くしてくれると言われています。
入浴後2~3時間後に寝るのが理想的で、深い睡眠を得るベストな時間帯です。
また、睡眠に関する悩みを抱えている場合、不適切な習慣や対応によって、かえって悪循環に陥っているケースが見受けられます。これを改善し質の良い睡眠をもたらすためには、日中の活動にも目を向けることが大切です。
・眠くなってから寝床につき、すみやかに寝付くことを心がける
・就寝前や寝床では音・光(照明、パソコン、スマホなど)はなるべく控える
・寝酒は、睡眠の質を悪くするため、やめるよう指導する
・就寝前4時間のカフェイン摂取、就床前1時間の喫煙をさける
・寝る直前に激しい運動など体温が上がる行動はしない
・中途覚醒時に余計に頭が冴えるのを防ぐために、アラームをセットしたら夜中には時計を見ない
・朝は一定の時刻に起きて、光を浴びる
・昼間は長く臥床しない
意外にも、睡眠の質と深い関係にあったお風呂。寝る前の入浴方法を見直し、ぜひ良質な睡眠を手に入れてください。
参考文献
- バスクリン公式サイト
- 林田健一:どう診る?日常診療に潜む睡眠障害、jmed12号いきなり名医!日本医事新報社
- 林田健一:朝、スッキリ目覚め「いい眠りだったな」とつい言ってしまう本、主婦の友社
- 内山真(編):睡眠障害の対応と治療ガイドライン第2版、じほう