保険診療とは?―精神科・心療内科を初めて受診する方へ
2025.12.18
精神科や心療内科を探しているとき、
「健康保険は使えるのだろうか」
「あとから高額な費用を請求されるのではないか」
といった不安を感じる方も少なくありません。
ここでは、「保険診療とは何か」について、
精神科・心療内科を初めて受診される方向けに、できるだけ分かりやすく説明します。

保険診療とは
保険診療とは、
健康保険制度に基づいて行われる医療のことです。
日本では、ほとんどの方が
- 健康保険(社会保険)
- 国民健康保険
- 後期高齢者医療制度
など、いずれかの公的医療保険に加入しています。
保険診療では、
- 診察
- 必要な検査
- 薬の処方
といった医療行為について、
費用の一部(原則1〜3割)を患者さんが負担し、
残りは保険制度から医療機関へ支払われます。
精神科・心療内科での保険診療
精神科・心療内科でも、
多くの診療行為は保険診療の対象です。
たとえば、
- 医師による診察
- 症状や生活状況の聞き取り
- 診断に基づく治療方針の検討
- 抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などの処方
これらは、原則として保険診療で行われます。
「精神科だから特別高い」ということはありません。
保険診療で決まっていること
保険診療には、国によって定められたルールがあります。
- 診療内容ごとに点数(診療報酬)が決まっている
- 医療機関が自由に料金を決めることはできない
- 同じ診療内容であれば、基本的な費用は全国共通
つまり、
「いくらになるか分からないまま進む」仕組みではありません。
自費診療との違い
保険診療に対して、
自費診療(自由診療)というものもあります。
自費診療とは、
- 健康保険が適用されない診療
- 費用を全額自己負担する診療
を指します。
たとえば、
- 一部の専門的な検査
- 特定のカウンセリング
- 保険適用外の治療やサービス
などが、自費診療に該当することがあります。
重要なのは、
保険診療と自費診療は、制度上はっきり分かれているという点です。
保険診療から、知らないうちに自費になることはある?
原則として、
患者さんの同意なく、保険診療が自費診療に切り替わることはありません。
自費診療となる場合には、
- どの部分が保険適用外なのか
- 内容は何か
- 費用はいくらか
を事前に説明し、
患者さんが希望された場合にのみ行われます。
不安なときは、聞いて大丈夫です
医療機関で、
- 「これは保険診療ですか?」
- 「費用はどれくらいかかりますか?」
- 「自費になる可能性はありますか?」
と尋ねることは、
まったく失礼なことではありません。
むしろ、
納得したうえで診療を受けていただくことは、
医療を行う側にとっても大切なことです。
最後に
精神科・心療内科の受診は、
体調や気持ちがつらい中で、勇気を出して検討される方も多いと思います。
制度や費用のことで不安を感じたまま受診する必要はありません。
分からないことがあれば、
遠慮なく確認しながら進めてください。

