治療に対する考え方
2025.12.18
テスラクリニックでは、
治療を「医師が一方的に行うもの」だとは考えていません。
精神科の治療は、
薬や技法だけで完結するものではなく、
ご本人の生活や考え方、体調やペースと一緒に
組み立てていくものだと考えています。
そのため当院では、
初診の段階で「すぐに答えを出す」ことよりも、
これから一緒に取り組んでいけそうかどうかを
丁寧に確認することを大切にしています。
いま何に一番困っているのか。
治療にどんな期待を持っているのか。
そして、どこまでならご本人が取り組めそうか。
そうした点を共有できて、
はじめて治療がスタートすると考えています。
薬物療法についての考え方
当院では、
薬物療法を「できるだけ避けるもの」とも、
「とりあえず使うもの」とも考えていません。
大切にしているのは、
今の症状が、生活にどの程度の支障をきたしているか、
そして、
薬を使うことで、その支障がどのくらい軽くなりそうか
という点です。
たとえば、不眠が続いていて、
それが翌日の仕事や学業に影響している状態であれば、
睡眠が安定するまでの間、
不眠症治療薬を使うことがあります。
それは、
一生飲み続けることを前提としたものではなく、
生活の土台を立て直すための一時的な手段としてです。
発達障害の治療においても同じです
発達障害についても、
当院では同じ考え方で治療を検討します。
遅刻が続いてしまう。
提出物の期限を守ることが難しい。
集中力の低下によって評価が下がり、
自己肯定感まで下がってしまっている。
こうした困りごとが、
薬物療法によって軽減できる可能性がある場合には、
投薬を選択肢として検討します。
薬によって、
生活が少し回りやすくなるのであれば、
それは意味のある治療だと考えています。
一方で、
薬を使わずに調整できそうな場合や、
現時点では投薬のメリットが小さいと判断される場合には、
無理に薬をおすすめすることはありません。
治療のペースについて
体調や状況によっては、
「いまはそこまで余裕がない」という時期もあります。
その場合には、
無理に治療を進めることが、
かえって負担になることもあります。
治療は、
「受け身で受けるもの」でも
「一人で頑張るもの」でもありません。
医療ができること、
できないことを正直にお伝えした上で、
ご本人と相談しながら、
無理のない形を一緒に考えていく。
最後に
薬は、人生を代わりに生きてくれるものではありません。
しかし、必要なタイミングで適切に使えば、
日常を取り戻す助けになることがあります。
テスラクリニックでは、
治療を「押しつけるもの」にもしませんし、
「丸投げされるもの」にもしたくありません。
ご本人と並んで進めていくこと。
それが、
テスラクリニックが大切にしている治療の形です。

