【お酒の量を減らしたい!】セリンクロってどんなお薬ですか?
2023.06.10
酒は百薬の長、なんて言われることもありますが、飲みすぎて翌日に体調を崩してしまうのはよくありません。
お酒を飲むと気分がよくなって、何となくふさいでいた気分が晴れて、よく眠れる……ような気がしますよね。
実はこれ、お酒の作用としては逆なんです。頭がふわっとしてよく眠れたような気になりますが、裏ではアルコール覚醒で睡眠の質が低下しており、気分が晴れるようで、その裏で抑うつ状態が進行していることが少なくありません。
不眠を主訴に来院される患者さんの中に、飲酒や生活リズムの問題が隠れているケースはかなりあります。
診察室の中でも飲酒量が多すぎる方、睡眠導入剤の代わりに飲酒されているような方には「減酒にっき」というアプリをダウンロードしていただいたりもします。(大塚製薬様が作成したアプリケーションで、こちらからダウンロードできます。)
以前はアルコール依存症の治療は”断酒”の一択でしたが、時代の変化とともに、断酒が難しい人は減酒を、アルコール依存症でない人でも健康トラブルを抱えている人に減酒をサポートするよう、治療内容が変化してきました。
当院でのアルコール依存症・アルコールの問題を伴った病気の治療は、いきなり無理に断酒を進めるような目標を設定するようなことはなく、「減酒にっき」などのアプリで記録をつけてモチベーションを保つ治療を選択しています。
また抗酒薬というお薬の開発が進んだおかげで、当院のようなクリニックでもアルコール依存症の治療サポートが行いやすくなりました。抗酒薬のひとつにセリンクロというお薬があります。
セリンクロは商品名で一般名をナルメフェン(Nalmefene)と言います。セリンクロは、中枢神経系に作用する医薬品であり、主にアルコール依存症の治療に使用されます。セリンクロは、アルコールの消費を減らす効果を持つセミ合成オピオイド拮抗薬です。
セリンクロは、オピオイド受容体に結合し、アルコールの欲求を減らす効果があります。これにより、トータルの飲酒量を減らすことができ、アルコール依存状態から段階的に離脱していくことが期待できます。
セリンクロの服用にあたっては、副作用や禁忌症、相互作用など、特定の状況や個人によって異なる可能性があります。アルコール依存、もしくはその傾向があり、処方を希望される方は、まずは医師にご相談ください。